Alliexが新たな金融サービスを提供する合弁会社を設立
ベトナムに本社を置くAlliex Vietnam JSCは、グローバルデジタル金融グループGo tymeおよびベトナムの投資グループであるVIGと共同で、新たな合弁会社を設立した。これにより、ベトナムの中小零細企業(MSME)向けにデータ主導型の金融サービスを提供することが計画されている。これは、成長著しいベトナム経済の中で、特に中小企業が直面する資金調達の難しさを解決するための新たなアプローチだ。
ベトナム中小企業の課題
ベトナムはASEAN諸国の中でも特に経済成長が著しい国であり、その成長を支えているのは多くの中小企業である。しかし、これらの企業は、担保がないことや財務諸表が整っていないことなどの理由から、銀行からの融資が困難な状況にある。多くの経営者が「売上はあるのに、成長に必要な資金を借りることができない」という現状に苦しんでいる。
この問題に対し、Alliexは決済インフラという強みを生かし、デジタル金融とテクノロジーを組み合わせた新たな金融サービスを模索している。これにより、企業の売上データをもとにした信用評価の仕組みを整え、資金供給の可能性を広げることを目指す。
新しい金融モデルの仕組み
設立された合弁会社は、データを通じて企業の信用を向上させ、必要なときにスムーズに資金を供給できる仕組みを構築する。
1.
データの収集と解析: Alliexは、各企業から得られるリアルタイムの売上データを収集し、これを基に信用スコアに変換する。このプロセスにより、企業の信用力を確立する。
2.
融資とリスク管理: Go tymeは、そのデジタル銀行としての専門知識を用いて、担保を必要としない柔軟な融資を提供する。これは企業に次第に信用をもたらす。
3.
市場戦略と統括: VIGは、現地市場の知見を活かして、展開する事業の地域戦略や資本政策をサポートする。
このように、事業者は日々の営業活動を行うことで、自然と信用を蓄積していき、必要とされるタイミングで円滑に資金を調達することができる。
Alliexの代表的コメント
Alliexの代表取締役社長、パク・ビョンゴン氏は「これまでの決済インフラを越え、データを金融価値へと変えるプラットフォームへと進化します。私たちのデータが中小企業の信用に直結し、その成長を支えることを確信しています」と語った。これにより、Alliexは単なる決済手段の提供から、金融サービスの重要な提供者へと進化する。
今後の展望
今後、Alliexとそのパートナー企業は次のような段階を踏んで事業を拡大する計画だ。
フェーズ1(短期)
特定地域・業種にて、売上連動型融資のパイロット運用を開始する。
フェーズ2(中期)
全国規模での対象地域拡大と、提携銀行とのネットワーク強化を図る。
フェーズ3(長期)
AIを用いた信用評価モデルの高度化を進め、サプライチェーン金融などへのサービス拡張を目指す。
Alliexは、これらを通じてベトナムの金融包摂を推進し、中小企業の生産性向上に寄与する「生産的金融」の基盤となり、さらなる経済発展に貢献することを目指している。