TISとQuantum MeshがAI基盤サービスで協業
TIS株式会社とQuantum Mesh株式会社は、2025年10月よりAI基盤サービスの開発と展開を共同で行うことを発表しました。両社の強みを活かし、最新の液浸冷却技術「KAMUI」を用いて、企業のAI活用をさらに推進する取り組みです。
液浸冷却システム「KAMUI」の役割
この新たな協業の目玉となるのが、Quantum Meshが開発した液浸冷却システム「KAMUI」です。このシステムは、GPUサーバー全体を冷却液に浸し、発生する熱を効率的に吸収します。これにより、昨今のデータセンターが直面している高負荷や電力コストの問題を解決し、高効率な運用が可能となります。
特に、液浸冷却は冷却効率の飛躍的な向上を実現し、従来の空調システムと比較して電力消費を大幅に削減できます。その結果、データセンター全体の運用効率も一新される見込みです。
AI基盤サービスの展望
今回の協業では、TISの都市型最新データセンターとQuantum Meshの分散型エッジデータセンターを組み合わせ、新しいAI基盤サービスの開発が行われます。これにより、企業がAIを活用したトレーニングや推論を行う際の効率性向上を図ることができます。
2025年11月から約半年間、初めてのユーザーと共に液浸冷却システムの運用・検証を行うPoCも予定されています。その結果をもとに、2026年夏頃までには、AIモデルや業界特化型LLMの構築が可能なサービスの提供を目指します。
市場のニーズに応える
AIの活用が業務効率化や新規事業の展開に繋がる中、高性能GPUサーバーの需要は年々高まっており、データセンター市場は急成長を見せています。富士キメラ総研によれば、ハウジングサービス市場は2029年までに年平均成長率73.1%、5年間で約15倍に達する見込みです。こうした背景から、高効率の冷却システムは必須です。
TISは、今年開設した東京第4データセンターを武器に、金融、産業、公共、流通など多様な分野のニーズに応じたサービスを提供しています。また、Quantum Meshも分散型エッジデータセンターの開発を進めており、独自の冷却技術を基に市場の拡大を狙っています。これらの強みを生かし、強固なデータセンターを民需に提供することが、新たなビジネスの創出に繋がります。
今後の展開
この協業は、両社にとって win-win の関係を築くもので、AI技術を搭載した新サービスの共同開発や、冷却システムの拡充、特化型AIサービスの提供など、多岐にわたります。特に、AIエージェント時代を見据えたサービス設計が期待されており、プライベートAI学習ニーズにも対応できます。
TISは長年にわたり蓄積してきたITの運用実績を持ち、それを基にデジタル基盤を整備しています。Quantum Meshもまた、高度なセキュリティを備えたデータセンターの開発に注力し、情報資産を世界レベルのセキュリティで保護することに専念しています。
これにより、両社は今後も市場変化に柔軟に対応し、企業のITニーズへ継続的に応えるべく、協業を進めていく意向を示しています。今回の取り組みが、新たなビジネスチャンスへと繋がることに期待が寄せられており、AI基盤サービスの発展に向けた一歩となるでしょう。