工学院大学が炭素繊維の回収技術を発表
工学院大学の小林潤教授(機械工学科)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から炭素繊維を効率的に回収する革新的な技術を開発しました。この技術は、持続可能なリサイクルを促進し、さまざまな産業への応用が期待されています。
技術の概要
小林教授が考案したこの新技術は、電磁波を使ってCFRP内部の炭素繊維を加熱し、周囲のプラスチックを熱分解して炭素繊維を回収するものです。具体的には、30秒から180秒の間に、CFRP内の樹脂部分の90%以上を除去することに成功しています。
この方法により、回収された炭素繊維は原料の8割から9割の強度を維持でき、再利用する際の価値が高まります。また、技術の実用化を見越し、エネルギー効率の評価や、リサイクルCFRPの成型加工方法についても検討が進められています。
メッセナゴヤ2024での発表
小林教授は、2024年10月30日から11月1日まで愛知県名古屋市で開催される「メッセナゴヤ2024」において、この技術を展示します。この展示会は、日本最大級の異業種交流展示会であり、多くの企業や研究者が集まります。工学院大学のブース(A-55)では、最新の研究成果を紹介し、企業とのコラボレーションを目指します。
CFRPの重要性と課題
CFRPは、その軽量で高強度な特性から、航空機のボディやスポーツ用品として広く利用されています。しかし、炭素繊維の高価さやリサイクル技術の未発達が、今後の普及に対する障害となっています。小林教授の技術は、こうした課題を解決するための重要なステップとなるでしょう。
企業との連携
メッセナゴヤでの発表を通じて、小林教授は企業との実験や検証の協力を求めています。リサイクル技術の確立と実装を目指すことで、環境に優しい循環型社会の実現に寄与すると期待されています。
工学院大学の取り組み
工学院大学は1887年に創立し、先進工学部や情報学部、建築学部といった多様な学部を有しています。同大学は、産学公連携を強化し、研究成果の社会実装を目指しています。特に、技術導入や共同研究を進めるための専門部署を設け、企業との円滑な連携をサポートしています。
このように、工学院大学の取り組みは、環境問題やリサイクル技術の進展に向けた一助となることが期待されています。小林教授の技術が実現すれば、炭素繊維のリサイクルが促進され、持続可能な未来へ向けた一歩となるでしょう。