自動車向け高品質再生プラスチック供給体制の構築に向けた新たな挑戦
近年、環境問題への関心が高まる中、自動車業界における再生プラスチックの使用が急務となっています。特に、欧州では再生材の利用に関する規制が厳しくなっており、高品質な再生プラスチックの安定供給が求められています。しかし、日本国内ではそのような体制がまだ整備されていないのが現状です。そのため、自動車メーカーや関連企業が協力し、実現可能性調査を行う動きが始まりました。
新たなフィージビリティスタディの開始
三菱ケミカル株式会社を筆頭に、高俊興業株式会社、東港金属株式会社、リファインバース株式会社、三菱電機株式会社、株式会社digglue、日本ポリプロ株式会社、株式会社ロンビック、そしてトヨタ自動車株式会社の9社は、再生プラスチックの安定供給を目指す「再生プラスチック集約拠点」のフィージビリティスタディを開始しました。このプロジェクトは、環境省が実施する「令和7年度補正予算 自動車等向け再生プラスチック安定供給体制の構築のためのFS事業」に採択されたもので、2027年2月までの間にさまざまな調査が行われる予定です。
フィージビリティスタディの目的
本スタディでは、以下の項目が対象となります。:
1. 使用済みプラスチックの高度選別におけるデジタル技術やAIの導入概念の具体化。
2. 自動車向けの品質基準を満たすマテリアルリサイクル材の調査。
3. マテリアルリサイクルに適さないプラスチックのケミカルリサイクルの調査。
4. トレーサビリティを確保するためのデータ連携要件の整理。
5. 経済合理性の評価や再生プラスチックの供給量拡大効果の予測。
6. 段階的な導入に向けた実装のロードマップ作成。
静脈・動脈連携によるサプライチェーンの強化
本プロジェクトの特徴の一つは、使用済みプラスチックの回収・選別を担当する静脈側の事業者と、素材設計やコンパウンド化を担当する動脈側の事業者との連携です。この協力が、再生材の品質やコスト、トレーサビリティの向上に大きく寄与することが期待されています。
高度選別と材料設計の融合
再生プラスチックの利用を促進するため、使用済みプラスチックの高度な選別技術と、その後の材料設計技術を統合することで、自動車などに必要な高品質な再生材の開発が進められています。また、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの最適な活用により、全ての使用済みプラスチックの価値を最大化するモデルが目指されています。
トレーサビリティの強化
トレーサビリティ技術を駆使し、原材料の由来から選別や再生原料化のプロセス、さらには再生材の環境価値に至るまでを可視化することで、需要家が安心して使用できる供給体制の構築が進められます。これにより再生プラスチックの信頼性が向上し、業界全体が持続可能性へシフトすることが期待されています。
今後の展望
このフィージビリティスタディを通じて、各社は再生プラスチック集約拠点の実現に向け、多くの課題を洗い出し、原料調達から品質管理、選別や再生原料の処理、需要家からの評価、トレーサビリティの確保、事業の採算性にあたる各要素を検証していく予定です。プロジェクトが成功を収めれば、将来的には多様な使用済みプラスチックを原料とし、高品質な再生材を広く供給する体制の構築が進むと考えられています。