水処理業界の新たな挑戦:PFASフリー部材の実用化
水質汚染に影響を与える化学物質への関心が高まる中、栗田工業株式会社が推進するPFASフリー部材の開発が注目されています。PFASとは、人工的に合成された有機フッ素化合物の総称であり、水や油を弾く特性から様々な産業で利用されてきました。しかし、PFASの中には発がん性や成長への影響が懸念される物質が含まれ、最近では欧米を中心に規制が強化されています。日本でも2026年度から特に有害性の高いPFOA及びPFOSに関して、水質基準が設けられ、定期的な検査が義務化される予定です。
クリタグループは、こうした社会的な課題に対処するため、2023年10月にPFAS対策室を設立。これにより、PFASによる環境問題を多角的に分析し、その影響や対策方法を検討しています。顧客に対してはPFASの分析や処理に関する技術的な支援を行い、課題解決に向けて取り組んでいます。
共同開発の具体的な進展
クリタの取り組みの一環として、PFASフリー部材の実用化に向けた共同開発が進行中です。特に、旭有機材株式会社とタッグを組み、PFASを含まないエンジニアリングプラスチックを使ったダイヤフラム弁の開発に力を入れています。この新素材は、様々なユーザーに水処理装置での実証を行う予定で、春からそのプロジェクトが本格化します。
また、ダイヤフラム弁以外にも、配管などの他の部材においてもPFASフリーの実用化を視野に入れた共同開発が進められており、水処理装置にとどまらず、広範なプラント全体におけるPFAS対応が期待されています。
未来に向けた持続可能なビジョン
クリタは、創業以来守り続けてきた水に関する専門知識を活かし、新たな価値創造に取り組んでいます。水と環境に関わる社会課題の解決に真剣に取り組むことで、持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。PFASフリー部材の実用化はその一環であり、業界においても重要な一歩となることでしょう。
業務が進む中で、クリタは技術的な進歩と環境への配慮を両立させながら、更なるイノベーションを目指していく姿勢を崩すことはありません。この取り組みがどのような成果をもたらすのか、今後の展開に大いに期待が寄せられています。