高層ビルの防災を支援する新アプリ「びるゆれコール」が登場

新たな防災アプリ「びるゆれコール」が公開

2025年6月2日、アールシーソリューション株式会社と工学院大学が共同で開発した防災アプリ「びるゆれコール」が、アプリストアに公開されました。このアプリは、長周期地震動による高層建物の揺れを推定し、利用者や管理者の迅速な対応をサポートすることを目的としています。

長周期地震動とは？

長周期地震動は、大地震時に発生する、周波数が低く、揺れが長く続く現象です。この揺れは特に高層ビルに重大な影響を及ぼし、室内の家具が倒れたり、エレベーターが故障するなど、人命に関わる深刻な被害を引き起こす恐れがあります。近年、高層ビルの増加に伴い、影響を受ける人口も増えており、気象庁も2023年から緊急地震速報に「長周期地震動階級」を追加することを決定しました。

「びるゆれコール」の機能

「びるゆれコール」は、地震発生後に気象庁から提供される震源情報を基に、設定された建物内の揺れをリアルタイムで推定し、利用者に通知します。単に建物全体の揺れだけでなく、具体的なフロアや室内の被害状況も推測して提供するため、迅速な初動対応に大きく寄与します。特に震源の距離が遠い場合、大きな揺れが始まる数十秒前に情報を得ることが可能で、非常に重要な役割を果たすと言えるでしょう。

ただし、提供される情報はあくまで推定に基づくものであり、実際の揺れとは異なる可能性があるため、数値の正確性には注意が必要です。

研究と開発の背景

国立研究開発法人防災科学技術研究所と工学院大学、アールシーソリューションの三者が進めている長周期地震動の観測と予測に関する研究は、このアプリの精度向上につながる重要な基盤となっています。今後は一般のユーザーから得られるフィードバックをより反映させ、アプリの性能改善を図る方針です。

開発への感謝

このアプリの開発には、リアルタイム地震情報システムフォーラムおよびサイエンスソリューションズ株式会社からの寄付も活かされており、関係者のご協力に深く感謝します。

アールシーソリューションの概要

アールシーソリューション株式会社は、2002年に設立され、緊急地震速報アプリ「ゆれくるコール」や多言語の災害情報提供サービス「防災クラウド」など様々な防災サービスを展開している企業です。IT技術を駆使した安心な社会づくりに寄与し続けています。

工学院大学の歴史

1887年に創立された工学院大学は、130年以上の歴史を誇る工科系大学であり、数多くのエンジニアを輩出してきました。工学教育を通じて次世代を担う技術者を育てることに力を入れています。

「びるゆれコール」は高層建物の利用者や管理者にとって、新たな安全対策としての重要性を持ち、今後の社会の防災意識向上に寄与することが期待されます。