健康管理DXシステム「AYUMI Scan」とは
近年、建設業界では高齢労働者の増加に伴い、労災件数が深刻な問題となっています。そんな中、東急不動産株式会社が手掛ける健康管理DXシステム「AYUMI Scan」が注目を集めています。このシステムは、スマートフォンやタブレットのカメラを使用して、労働者の足腰筋力やバランス力を測定し、労働環境の安全を向上させることを目的としています。
2025年10月2日には、JR西宮駅南西地区再開発プロジェクトの作業所で、ゼネコンとしては初の試みとなる測定会が開催され、80名の作業員が参加しました。この取り組みは、AYUMI BIONICSと共同で進める健康づくりサービスの一環で、労災事故を未然に防ぐための重要なステップとなっています。
測定会の背景
労災件数が増加している背景には、高齢労働者の割合が約19%を占め、労災の中で60歳以上によるものが約30%にも及ぶ現状があります。特に、「転倒」は労災事故の中で最も多い事故の種類であり、年齢と共に発生率が高まります。このような状況を改善するため、厚生労働省が推進する「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」に基づき、高年齢労働者の身体機能の把握と労災防止に向けた対策が進められています。
AYUMI Scanの機能と特長
AYUMI Scanは、短時間で心身機能を測定できるアプリです。足腰筋力やバランス力のほか、認知機能の測定も行え、結果はリアルタイムでダッシュボードに反映され、個別のサポートが可能となります。また、企業ごとの要望に応じたフォローアップサービスも提供され、健康づくりを後押しします。
測定会の内容と参加者の反応
測定会では、作業員が互いに支え合いながら励ましの声を掛け合い、安心して測定に臨む姿が印象的でした。測定結果はその場で配布され、参加者は自身の健康状態を意識する良い機会となりました。特に、測定結果から、60歳以上の約7割が実年齢より若い「足腰年齢」の評価を得る一方で、30歳以下の敏捷性テストの結果は、半分が改善を必要としていることが判明。60歳以上においては、9割が改善を要するという現実が浮き彫りとなりました。
竹中工務店からの評価
「AYUMI Scan」を導入することで、短時間での測定が可能となり、作業員が健康や安全について自然に会話する場面が増えました。安全意識の向上にも寄与しているとする竹中工務店のコメントが印象的です。
今後の展望
建設業において、労働者の高齢化は大きな課題です。この問題に対応するため、企業同士の連携を強化し、高年齢労働者が安心して働ける環境の整備が必要です。AYUMI Scanをはじめとする健康管理DXシステムは、労災防止対策の一環として、今後も広く普及していくことでしょう。
会社概要
東急不動産株式会社は、東京都渋谷区道玄坂に位置し、総合不動産デベロッパーとして活動しています。近年では健康促進のためのさまざまなサービスを展開しており、持続可能な労働環境の構築を目指しています。ウェブサイトは
こちらです。