東京エレクトロンが進める新たなAI技術
製造業の進化が求められる現代、東京エレクトロン株式会社(以下「TEL」)は新たな技術「Confidential AI」の導入を進めています。この技術は、EAGLYS株式会社がサポートし、半導体製造におけるデータの機密性を保持しつつAIの活用を探る探索的なプロジェクトです。
Confidential AIの基本概念
さて、Confidential AIとは何でしょうか?この技術は、AIサービスで使用される入力データや処理データの機密性を多層的に保護することを目的としています。具体的には、Trusted Execution Environment(TEE)や、AIガードレールなどのハードウェアセキュリティ技術を組み合わせることで、データの安全性を確保します。従来の「暗号化して保管する」とは異なり、AIが処理を行っている最中も情報を守る機能が特徴です。
AIが処理しているデータを暗号学的に証明することができ、これによりユーザーは信頼性を契約に依存することなく、実証された安全性に基づいてAIサービスを利用できるようになります。
製造業DXにおける課題
製造業において、AIの導入が進むものの、「自社の機密情報をAIに入力するのは本当に安全なのか?」という疑問が浮かび上がります。このような信頼性の問題は、企業が新しい技術を本格的に導入する上での大きな障壁となっています。現段階では、AIサービスに対する信頼は契約書や利用規約に依存しており、技術的に保証されているわけではありません。
TELは、これまで蓄積してきた半導体製造技術をAIと組み合わせ、生産効率の向上や顧客サービスの質を向上させることを目指しています。しかし、この実現には機密データが「技術的に」守られる確証が不可欠です。
EAGLYSの取り組み
EAGLYSは、「Confidential AI」技術を提供しており、AIが処理を行っている最中もデータを安全に保護する仕組みを構築しています。具体的には、ハードウェアレベルでの隔離された環境でAIを動作させることにより、外部の第三者がその情報にアクセスできない構造を実現しています。
さらに、この保護環境が正常に機能していることを暗号技術に基づいて証明する仕組み(アテステーション)により、利用者は「信じる」のではなく「確認できる」形でAIサービスを利用できるようになっています。今回、TELが開発中の次世代AIサービスに対して、生成AIやRAGシステムへの技術的適用が完了しました。
EAGLYSの技術は、化学業界で使われる企業間データ連携プロダクト「EAGLYS ALCHEMISTA」においても中核的な技術として評価されています。この技術は、三菱ケミカルや大塚化学などが製品配合や物性データのAI活用に成功し、材料開発の期間を最短で3分の1に短縮した実績もあります。
これからの展望
EAGLYSは、TELの次世代AIサービスの実環境に近い条件での検証フェーズに移行する予定です。この取り組みは、製造業だけでなく、様々な産業分野において機密情報を安心して生成AIに活用できる信頼性の基盤を整えることに寄与するでしょう。
関連イベントのご案内
EAGLYS年次イベント「EAGLE DAY 2026」では、TELが本プロジェクトの技術的詳細について講演する機会があります。生成AIの安全な活用に興味のある方は、ぜひこちらへの参加をご検討ください。詳細は
こちらからご確認いただけます。
本イベントの開催は2026年7月2日(木)13:00-16:35となっており、主催はEAGLYS株式会社です。特別登壇には東京エレクトロン株式会社や富士通株式会社も参加します。参加登録はお早めに!