JCCL、東洋製罐グループ、三井物産プラスチックの共同プロジェクト
2023年、カーボンニュートラルを目指す新たな取り組みとして、株式会社JCCL、東洋製罐グループホールディングス株式会社、三井物産プラスチック株式会社の三社が、CO₂分離回収技術の早期社会実装を加速するための共同プロジェクトを発表しました。
本プロジェクトの背景
環境問題が深刻化する中、CO₂の分離回収技術が注目を集めています。特に、2050年に向けたカーボンニュートラル社会の実現に向け、クリーンな技術の展開が急務となっています。九州大学発のスタートアップであるJCCLは、二種類のCO₂分離回収技術を保有する強みを持ちます。具体的には、燃焼後の排ガスからの低エネルギーでのCO₂回収技術と、大気中からCO₂を直接分離するDAC(Direct Air Capture)技術を組み合わせています。この技術により、低濃度CO₂を97-99%の高純度でかつコストを抑えて回収できる可能性が広がります。
各社の役割と取り組み
本プロジェクトでは、JCCLが持つ省エネルギー型のCO₂分離回収技術の推進を担い、東洋製罐グループの包装技術と三井物産プラスチックの広範な販売網を活用します。環境負荷の低減と持続可能な活動の実現を目指した具体的な活動が期待されています。
JCCLの技術の強み
JCCLのCO₂回収技術は、以下の特長を備えています。
- - 未利用排熱の活用: JCCLの栄養素材「アミン含有ゲル」は、40~60℃の低温蒸気を用いることでCO₂を容易に脱着し、工場の未利用排熱を有効活用できます。
- - コスト低減: 従来の技術ではエネルギーを大量に消費していましたが、JCCLの技術では温度を一定に保ちつつ低圧蒸気で回収可能なため、エネルギーコストを約4分の1に抑えることができます。
- - 環境への配慮: 従来のアミン吸収剤と異なり、「アミン含有ゲル」は揮発リスクがないため、環境汚染の心配がありません。
今後の展望
この取り組みの一環として、2025年度からは東洋鋼鈑株式会社の下松事業所で小型回収装置を用いた実証実験を開始予定です。実験を通じて材料の耐久性や設備の最適化を行い、2025年度に小型装置(CO₂回収能力30kg/日)、2026年度にはコンテナ型装置(300-500kg/日)の社会実装を目指します。また、省エネルギー型のDACに関する実証実験も同様に進められます。
まとめ
JCCL、東洋製罐グループ、三井物産プラスチックは、共同の取り組みを通じて、カーボンニュートラル社会の実現に向けた技術の発展と普及を推進しています。環境への意識が高まる中、このプロジェクトが持つ可能性は広がるばかりです。今後の具体的な進展に注目です。