日立とレゾナックが構築したデジタル化基盤
株式会社日立製作所と株式会社レゾナックは、大分県大分市に位置するレゾナック大分コンビナートにおいて、デジタル化基盤の構築を進めています。この取り組みは、プラント運営の安定性を向上させ、技術の伝承を支えるものであり、2024年5月からは本格的に運用が開始される予定です。
プロジェクトの概要
新たに構築されたデジタル化基盤は、日立の提供するLumadaソリューションをベースにしています。このソリューションは、製造業における業務ノウハウのデジタル化を進めると同時に、既存のシステムに散在するデータを一元的に管理するプラットフォーム「WIGARES(ウィガレス)」を活用しています。
特にエチレン製造に関わる運転業務では、約3,000のアラームがあり、このデジタル化基盤を通じて異常予兆の検出と迅速な対応を実現するためのプロセスが整備されています。具体的には、熟練の運転員が持つ経験やノウハウをデジタルデータとして蓄積することで、プラントにおける異常発生時の対応を強化します。これにより、運転員は必要な情報を短時間で取得できるようになり、業務の効率化と安全性向上を図ることが可能になります。
WIGARESの導入効果
WIGARESが導入されることによって、運転員は異常予兆に対して解決に必要なマニュアルや図面などの情報をこれまでの約半分の時間で取得できるようになります。AIを活用した日立の異常予兆検知システム「ARTiMo(アルティモ)」が、このプロセスの迅速化を支えています。
これにより、プラントの運営は一層の効率化と安全性が求められ、その結果、競争力の強化にも寄与すると期待されています。また、日立は今後もこの技術を、化学業界全体へと展開し、業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく方針です。
今後の展望
日立とレゾナックは、今後とも大分コンビナートにおいてWIGARESを活用し、業務ノウハウの継承や安全・安定操業の一層の追求を進めていきます。業務プロセスやノウハウのデジタル化は情報の迅速な共有や分析を促進し、予測不可能な事態に対する素早い対応を可能にするでしょう。これに伴い、プラント運営の高度化が実現し、事業競争力の持続的な強化が目指されています。
日立製作所とレゾナックの共同によるこのプロジェクトは、デジタル化が進展する中で、製造業の未来を大きく変える可能性を秘めています。
会社情報
日立製作所は、デジタルシステムやエネルギー技術を駆使し、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。レゾナックは、幅広い素材・先端材料テクノロジーを活用し、関連分野での成長を目指しています。両社の取り組みは、業界全体の発展を促進するものと期待されています。