尼崎市の新指定文化財と歴史の深淵に迫る
尼崎市指定文化財の新たな仲間
今春、尼崎市教育委員会は、所蔵する「六瀬頼連軍忠状」を新たに文化財として指定しました。この文書は、661年前の戦乱の様子を知るための重要な資料となっています。指定日は2024年3月27日で、これにより尼崎市の文化財の総数は57件となります。指定されることになった経緯や価値について詳しく見ていきましょう。
新指定文化財「六瀬頼連軍忠状」の概要
「六瀬頼連軍忠状」は、1362年に作成された有形文化財の古文書です。この文書は、南朝の勢力と北朝の勢力が激突した神崎合戦の記録を含んでおり、戦乱の状況や当時の武士たちの動向を知るための貴重な手掛かりを提供しています。
具体的な情報:
- - 名称: 六瀬頼連軍忠状
- - 種別: 有形文化財 (古文書)
- - 数量: 1通
- - サイズ: 縦31.3㎝ × 横45.2㎝
- - 所在地: 尼崎市南城内10番地の2
- - 所有者: 尼崎市
この文書は、現在の兵庫県内にあたる地域の一つ、摂津国川辺郡北部にある六瀬を本拠地にしていた多田院御家人・六瀬頼連によって作成されました。康安2年の8月、頼連は北朝の側に立って常光寺に参加し、戦いへ向かいました。彼の手紙は、神崎橋での南朝勢との戦闘や官軍への具体的な戦術について詳述しています。この合戦は「神崎合戦」として名を知られ、軍記物語『太平記』にも描かれています。
歴史的背景と意義
この軍忠状の最大の特徴は、当時の具体的な戦闘の様子を記録した初めての文書である点です。文書に記載されている情報、すなわち戦局の進展や士族たちの動きは、尼崎地域における南北朝時代の戦乱の様相を明確に理解するための貴重な証拠となります。
また、市内に存在する資料の多くはこの時代を直接描写していないため、今回の軍忠状は非常に貴重な存在です。歴史の深層を探る上での鍵を握る資料として、ぜひ多くの人に触れてほしいものです。
特別公開のお知らせ
この際、尼崎市立歴史博物館では、2024年5月10日から6月29日まで、「六瀬頼連軍忠状」の特別展示が行われる予定です。展示期間中、入館は無料で、毎週月曜日が休館日となっています。来館者は午前9時から午後5時までの間に訪れることができ、入館は午後4時半までです。また、歴史的な資料に触れるこの機会を通じて、来訪者には当時の武士の心意気や地域の歴史を感じてほしいと思います。
まとめ
尼崎市の文化財に加わった「六瀬頼連軍忠状」は、戦乱の歴史を知るための重要な証拠です。この貴重な資源を通じて、地域の歴史を知る機会が提供されるのは、私たちにとって幸運なことです。ぜひ特別展示に足を運んでみてください。