京阪電鉄が導入するAI英会話「スピークバディ」とは
京阪電気鉄道株式会社は、株式会社スピークバディが提供するAI英会話アプリ「スピークバディ」を導入しました。この新しい取り組みは、急激に増加する訪日外国人への接客力を強化する目的で、特に2025年に大阪で開催される大阪・関西万博を見据えたものです。公共交通機関でAI英会話が導入されるのは初めての事例であり、今後の円滑な接客サービスの提供が期待されています。
大阪・関西エリアのインバウンド需要の現状
日本政府観光局(JNTO)のデータによると、2025年の訪日外国人数は前年同期比で18.2%増の2,838万人超と予測されています。また、特に大阪府では、万博開催の影響も受け、年間1600万人の訪問者が見込まれています。こうした背景には観光地のみならず、公共交通機関でも訪日客の言語に対するニーズの高まりがあることが挙げられます。
訪日客が「鉄道駅」などで困っている点として、施設スタッフとのコミュニケーションが円滑でないことが多く、国際的な接客環境の整備が求められています。これを解決するため、英会話力を効率的に高める新たな手段が重要視されています。
AI英会話スピークバディの特徴
「スピークバディ」は2016年にリリースされた日本初のAI英会話アプリで、感情豊かなキャラクター(AIバディ)との対話を通して英会話を学びます。そのため、従来の人と対話するスタイルと比べて、心理的な負担が少なく、英会話を楽しく続けられる環境が整っています。
特に、訪日客向けの「接客英語」が学べる点が特長で、1000以上のシーンから成るストーリー仕立てのレッスンは、各学習者のレベルに合わせた内容で提供されます。これにより、観光業界や公共交通機関に従事するスタッフが実践的な英会話力を身につけることができます。
京阪電鉄の英語対応向上への取り組み
京阪電鉄は、従来から英語に不安がある駅係員や乗務員の英会話スキルの向上に取り組んできましたが、シフト勤務の影響や、英語レベルの差異による課題がありました。そこで、AIバディとの対話によって、誰でも気軽に学習できる環境を提供する「スピークバディ」の導入を決定しました。
この取り組みにより、英会話の練習をする際の心理的な壁を下げ、業務での必要な英会話を効率的にマスターすることが期待されています。京阪電鉄営業推進部のスタッフ、林真季さんは、訪日外国人に対し言葉の壁を越えたおもてなしを強調し、スタッフの学びの機会を提供したいと述べています。
AI英会話の普及と今後の展望
「スピークバディ」は、個人利用者だけでなく、企業や自治体、教育機関でも導入が進んでおり、その数は170を超えています。公共交通機関という新たな分野での取り組みは、今後さらに広がることが期待されています。AI技術の進展に伴い、英語学習がより多くの人にとってアクセスしやすくなることは間違いありません。
訪日客が安心して利用できる公共交通機関を提供するために、京阪電鉄の取り組みは、その良い手本となることでしょう。今後も「スピークバディ」に関する機能やサービスが更に拡充されることで、言語習得の可能性を広げる公私の役割が期待されます。