住友林業株式会社と東京建物株式会社が、アメリカ・ノースカロライナ州ラリー市において、総戸数267戸を備えた5階建ての木造賃貸用集合住宅の開発を計画しています。この開発は、両社にとってワシントンD.C.やコロラド州でのプロジェクトに続く3件目となり、米国における木造建築の普及を目指しています。
本物件は、2025年6月に着工し、2027年1月頃に賃貸を開始する予定です。総戸数267戸のうち、主にヤングプロフェッショナル層をターゲットにしたスタジオルームや1ベッドルームを多く配置し、居住空間のニーズに応えます。また、屋外グリルエリアや会議室を兼ね備えたコワーキングラウンジ、ペットスパにドッグラン、そして街の景色を楽しむことができるスカイラウンジが設置され、居住者に快適で魅力的なコミュニティスペースを提供することを目指しています。
建築に用いられる工法としては、木造枠組壁工法が採用されており、これは鉄筋コンクリート(RC)造よりもコストを抑えることができる点が特徴です。加えて、木材はCO2を吸収・貯蔵する性質があるため、木造建築の採用は脱炭素社会の実現に寄与することが期待されています。このように、住友林業と東京建物は、環境に配慮した持続可能な社会の実現を目指し、積極的に木造建築の普及に取り組んでいるのです。
さらに、ラリー市はアメリカ東海岸の中心地に位置し、交通の便が良いという特徴があります。州間高速道路(I-85)に近接し、ノースカロライナ州立大学やデューク大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校が位置する「リサーチトライアングル」に属するため、教育や研究の拠点としても知られています。この地域には300社以上の企業が集まり、競争力のある人材を豊富に雇用する環境が整っているため、今後の経済成長が期待されています。
このプロジェクトは、住友林業の子会社であるSFA MF Holdingsと東京建物の子会社Tokyo Tatemono US Ltd.が組成した共同出資の特別目的会社(SPC)によって推進されます。住友林業グループは、2018年から不動産開発事業に参入し、着工戸数は年々増加しており、米国市場においても急速に成長を遂げています。
特に2024年には全米で5,344戸の集合住宅を着工予定で、2030年までに1万戸以上の賃貸集合住宅を供給することを目指しています。長期的には、木造建築の普及を通じて森林のCO2吸収量を増やし、社会全体の脱炭素化に貢献していく考えです。
東京建物も同様に、海外市場での事業展開を進めており、米国における事業の再進出を明確な戦略として掲げています。継続的な展開を通じて、現地有力なパートナー企業と協力し、資産運用型のビジネスモデルを確立する目標を持っています。
ノースカロライナ州ラリー市でのこの新たな開発プロジェクトは、ただの居住空間を提供するだけでなく、環境に優しい持続可能な社会の実現に向けた明確な一歩となるでしょう。アメリカにおける木造建築の未来を照らすモデルとして、今後の展開に注目が集まります。