新型抗体の開発
2022-07-15 10:00:31

新型コロナウイルス全変異株に有効な新型抗体、京都で開発

新型コロナウイルス全変異株に対抗する新たな抗体の開発



新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界中で感染が広まり、未だに収束を見せていない状況にあります。この間に、約7億人が感染し、700万人以上が命を落としました。特に最近の主流であるオミクロン株は、その特徴的な変異によって、以前のウイルス株や治療用抗体が効かなくなることが確認されています。こうした背景の中、京都のバイオ企業・株式会社COGNANOが開発したナノボディ抗体が、全変異株に対して優れた効果を持っているという新たな成果が発表されました。

COGNANO社の革新的なアプローチ



COGNANO社は、アルパカの抗体遺伝子を元にした新しい抗体選択のアルゴリズムを開発。このアルゴリズムによって、変異ウイルスに対しても高い活性を持つナノボディ抗体が生成されました。特に注目すべきは、オミクロン株を含む様々な変異株に対しても効果が期待できる点で、これによりいままでの中和抗体では十分な効果が得られない状況を打破する可能性を秘めています。

研究チームは、クライオ電子顕微鏡を用いてナノボディ抗体とウイルスのスパイクタンパク質の関係を解析しました。この結果、ナノボディはウイルスの表面ではなく、より深い部分にある「クレバス」と呼ばれる部分に結合することが確認されました。この部分は、これまでの抗体が届かなかった場所であり、ウイルスの変異に左右されにくい強力な抗体として評価されています。

共同研究による確認と影響



さらに、京都大学や大阪大学などが参加した研究チームが、ナノボディ抗体がオミクロン株を中和する能力を確認しました。この成果は、日本医療研究開発機構の助成により実現したもので、その高い有効性は他に類を見ないものです。ナノボディはその特異なサイズ故に、通常の抗体が届かない弱点に直接作用できるため、ウイルスに対する効果が非常に期待されています。

さらなる応用と今後の予定



COGNANO社では、ナノボディ抗体の開発を進める一方で、環境モニタリングや医学検査においても応用する計画があります。ナノボディは遺伝子工学により改良が容易で、安価に生産できるため、今後は新型コロナウイルスだけでなく、エイズやインフルエンザなどの他の感染症にも応用できる可能性があります。

また、現在ワクチンや抗体による治療が難しいガンの解決のために、Machine Learningとバイオテクノロジーを活用した新たな治療法を模索しています。これにより、社会に貢献する新たな技術の開発を目指しています。

ナノボディ抗体の実用化が進めば、感染症への対策だけでなく、様々な疾患において新しい治療法として貢献することが期待されています。今後のさらなる展開に注目が集まります。

会社情報

会社名
株式会社COGNANO
住所
京都府京都市左京区上高野東山64-101
電話番号

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。