岡山県の環境を守る新たな取り組み
岡山県岡山市に本社を置く「次の灯株式会社」は、創業わずか8年で経済産業省の「ものづくり・商業・サービス補助金」に採択されました。これは、地方企業としては異例であり、同社が推進する「廃棄物から価値を生み出す循環型のものづくり」が国から高く評価された証拠です。
地域からのイノベーション
次の灯は、世界的に進む希少金属の需給逼迫に対応するため、自動車や産業機器に多く使われる白金やパラジウムなどの金属の再利用に注力しています。これまでは廃棄されていた自動車触媒や部品に含まれるこれらの貴金属を正確に測定し、再利用基準を見極めることが「次の循環産業」を生み出す鍵となるでしょう。
同社では、廃棄部品中の白金含有量を高精度で測定できる分析装置を導入し、資源を単なる“廃棄物”から“再生材”に変えるための技術インフラを整備しています。この取り組みは、単なる装置の導入にとどまらず、地方中小企業が中心となって「循環を起こす産業モデル」を構築するための基盤作りです。
理念と仕組みが受け入れられる時代
このプロジェクトは、環境負荷の高い資源採掘に依存しない再生型ものづくりを追求しており、リサイクル効率の向上によりCO₂排出量や原料調達コストの大幅な削減が期待されています。次の灯の採択は、これまでの技術開発や地域連携の実績が認められた結果でもあります。
補助金を活用し、同社はリサイクルラインの高度化や分析工程の自動化、製造DXの推進を段階的に進めていく計画です。
代表のビジョン
代表取締役である黒川聖馬氏は、「“廃棄”をなくし、“循環”を当たり前にするものづくりを岡山から発信したい」と述べています。また、採択は技術そのものよりも理念と仕組みが評価された結果と考えており、地方企業としても世界の環境課題に貢献できることを証明したいと意気込みを見せています。
今後の展開
今後、次の灯は大学や自治体、地場企業と連携し、環境技術やリサイクル技術の地域実装モデルを構築する予定です。自治体との協働による廃棄物リサイクルの高度化や、大学との共同研究による新素材の再利用技術開発などを通じて、現場に根ざした実証活動と社会浸透を目指します。
さらに、これらの知見を基に国内外で循環型資源ネットワークを加速し、自動車部品やバッテリーなどの資源価値を持つ廃棄物を「再生資源」として流通させることで、環境負荷の低減と経済循環を同時に実現することを目指しています。
ブランドステートメント
次の灯のブランドステートメントは「めぐる、つなぐ、地球にイイコト」です。地域から発信し、持続可能な社会をデザインする企業を目指すこの取り組みは、多くの人々に関心を集めることでしょう。地域に新たな循環型の取り組みをもたらす次の灯の今後に注目です。