特別なスツールが誕生する背景
石巻工房とクラフトシップスがコラボレーションし、限定モデル「ISHINOMAKI STOOL」を発表しました。これまで多くの愛されたこのスツールは、2011年の東日本大震災後に復旧を目的として誕生したもので、被災地での実用性を追求したデザインが特徴です。
この特別仕様モデルには、日本の職人が手掛ける染色技法「経年染め」が施されています。経年染めとは、木材に時間の経過を感じさせる色合いを与える技術で、シンプルなスツールに深みを加えているのです。経年染めによって、ただの道具ではなく、年月と共に愛着が湧く家具に生まれ変わります。
経年染めの特色
経年染めのプロセスでは、松煙染めの技法を用いています。木材の赤みを抑えることで、落ち着いたグレーの色合いを実現しました。手作業による色の変化が一点一点異なるため、全部で唯一無二の表情を持つスツールとなっています。自然とインテリアに溶け込みながらも、使っていくことでその色味が深まるのです。
開発の背景
石巻工房は、東日本大震災によって生まれたDIY工房からスタートし、地域市民と共に家具制作に取り組んできました。その代表作の一つ「ISHINOMAKI STOOL」は、地域の工芸技術を活かし、人々が自分の手で作り上げられる製品として展開されてきました。
今回の限定モデルでも、木材に内在する時間を染色技法で引き出すことに挑戦しました。木目の持つ美しさを強調しながら、時間の経過を重ねたような風合いの色合いを表現することで、ただのスツールではない、時を経ることで魅力が増す商品を目指しました。
職人の手仕事
経年染めには、熟練した職人の技が息づいています。染料を木材にしっかりと浸透させ、木目の表情を引き立たせるためには、職人の感覚が重要なのです。また、スプレーガンを使用した仕上げ工程では、木目の濃淡を見極めながら、丁寧に薄く均一な層を積み重ねていきます。
こうした繊細な工程を経て、一つ一つのスツールが完成します。職人の手仕事により、木は布とは異なるその性質を持ちながらも、色彩豊かで奥深い表情を獲得しています。
限定販売と展示について
この限定モデルは、2025年9月24日から9月30日まで開催される『CRAFTED CONNECTIONS』にて展示・販売される予定です。会場は銀座三越の本館7階で、入場は無料です。
これらのスツールがどのようにデザインされ、実際に手に取ることで、経年変化を体感できるか、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。消費文化から継承文化へのシフトを象徴するこのスツールが、日常生活の中での愛着を生む存在となることを願っています。
企業情報
石巻工房
- - 会社名: 株式会社石巻工房
- - 所在地: 宮城県石巻市渡波字栄田164-3
- - URL: 石巻工房の公式サイト
クラフトシップス