外食市場に潜む「1,000円の壁」の実態
最近の物価高騰に伴い、私たちの外食習慣に様々な影響が出ています。株式会社リクルートが運営する『ホットペッパーグルメ外食総研』が行った調査によると、日常的な外食において1,000円以上支払うことに対する抵抗感が多くの人に根強く残っていることがわかりました。
アンケート結果から明らかになった「1,000円の壁」
リクルートは全国の20代から60代の男女1,035人に対し、「外食をする際、初めて訪れた飲食店で1,000円以上のメニューを気軽に注文できるか?」という質問を投げかけました。その結果、海鮮丼が43.4%で最も高い割合となり、次いでとんかつが31.7%、パスタが28.9%、ピザが27.1%と続きました。一方で、最も「1,000円の壁」を強く感じるメニューはラーメンで、76.6%、かつ丼が84.0%、カレーが82.8%であり、多くの人がこれらのメニューに対して1,000円以上の支払いに対し心理的な抵抗を感じていることが明らかになりました。
とんかつと競うかつ丼の「壁」が示すもの
興味深いことに、とんかつよりもかつ丼に対する「1,000円の壁」が高いという結果が出ました。調査によると、かつ丼が「これぞ外食」という特別感を求める食事として認識されていることが影響しているようです。家庭で手軽に作れる料理であるため、外食した時の値段を考えると抵抗を感じるのかもしれません。これは、外食の価値を「特別感」や「体験」に求める消費者側の意識を反映しています。
堅調な価格設定と消費者心理
外食業界では「1,000円の壁」が長い間議論されていますが、値上げだけではこの心理的障壁を乗り越えることは難しいと感じます。飲食店側は単に料金を上げるのではなく、「なぜこの価格になっているのか」「どんなストーリーが背後にあるのか」といった要素を顧客に伝えることで、納得感を生む努力が必要です。
これは外食業界に限らず、広く消費者とのコミュニケーションが重要であることを示しています。
「ホットペッパーグルメ外食総研」とその取り組み
トレンド座談会は季節ごとに最新の外食トレンドを発表する場として設けられ、リクルート内のプロフェッショナルたちが参加して情報共有を行います。実際のデータや現場からの声を元に議論を展開し、外食のリアルな姿を掘り下げています。外食のトレンドをただ調査するだけでなく、どのようにして消費者のハートをつかむかに力点が置かれています。
調査に関する詳細
調査はインターネットリサーチ形式で、対象は全国の20代から60代の男女であり、517件が男性、518件が女性からの有効回答が寄せられました。総研の調査結果は、外食業界の動向や消費者の嗜好を理解する上で重要なデータとして活用されています。
最近の物価高騰の中で、外食市場はどのように変化していくのでしょうか。この「1,000円の壁」を突破するための戦略や取り組みがますます重要になっています。