日本初の10BASE-T1Lシングルペアイーサネット「SPE HAT」シリーズが販売開始
2023年3月1日、日本市場初の10BASE-T1Lシングルペアイーサネット製品である「SPE HAT」シリーズが販売されました。この製品は、Raspberry Piを用いてシングルペアイーサネット端末へと変身させることができる拡張ボード「HAT」として登場します。特に、新たにリリースされた「SPE HAT mini」は、Raspberry Pi zeroに対応しており、標準サイズのHATは3月末に販売予定です。
開発の背景
近年、多くの大規模プラントでは生産効率や制御装置のパフォーマンス向上へのニーズが高まってきています。特に、従来のRS-485通信を利用したフィールドネットワークは、装置間の連携や通信速度に課題があり、多くの現場での利用が制約されています。そこで、高速かつ広範な通信能力を持つイーサネット技術が注目されるようになりました。しかし、従来のイーサネット技術は最大伝送距離が100mに制限されているため、広大な生産現場においては不便があったのです。
この問題を解決するため、2019年に新しいイーサネット規格である10BASE-T1L(シングルペアイーサネット)が公式に発表されました。この規格は、
最大1000mの伝送距離、速度が
10Mbps、さらに最大
52Wの電力供給をサポートしており、今後は大型プラントや物流倉庫、ビルの監視システムなど、さまざまな現場での導入が期待されています。
SPE HATシリーズの特長
「SPE HAT」シリーズは、産業用として使われることの多いRaspberry Pi向けにデザインされており、簡単に10BASE-T1L端末を構築できることを目的としています。これにより、ネットワークの評価や実運用をスムーズに行える環境が提供されます。具体的な主な仕様は以下の通りです。
- - 準拠規格: 10BASE-T1L (IEEE 802.3cg-2019)
- - 伝送速度: 最大10Mbps(規格値)
- - 伝送距離: 最大1000m(規格値)
- - 振幅モード: 2.4Vp-p / 1.0Vp-p
- - 電源電圧: 3.3V / 1.8V
- - 電源供給: Raspberry Piから供給。将来的にはPoDL/SPoE対応予定。
- - 消費電力: 最大0.5W
- - 動作温度: -20 ~ 70℃
価格と購入方法
「SPE HAT mini」は税抜14,000円、「SPE HAT」は税抜16,000円を予定しています。また、製品の詳細については、
OKS-TECHの公式サイトをご覧ください。販売に関する問い合わせも同サイトから受け付けています。
OKS-TECHのビジョン
OKS-TECHは「未来を手の届くところへ」というビジョンのもと、新技術や知見を取り入れ、便利で快適な製品とサービスの提供を目指しています。また、企業が持つ革新的なアイデアを実現するために、ハードウェアからソフトウェアまで幅広い開発を手がけています。今後の技術革新に期待が高まります。