日本の山岳古道が公開スタート!
2023年8月11日、公益社団法人日本山岳会は、創立120周年を記念し、「日本の山岳古道120選」と題した新たなサイトの運用を開始しました。このサイトでは、文化的、歴史的、地理的な価値を持つ120の山岳古道を順次紹介していく予定です。すでに20の古道が公開されていますが、今後も追加される見込みです。
山岳古道とは?
山岳古道は、山の中を通っていた古い道のことを指しています。熊野古道や箱根旧街道などは特に有名です。これらの古道は、昔の人々が安全に通行するために、高い尾根を通るように設計されていました。大雨による崩壊の危険を避けるため、また敵や獣から身を守るためなのです。そのため、古代や中世の道は、山の頂上や尾根に沿って築かれました。
ある時代を経て平和な時代が訪れると、土木技術が進歩し、道は山の麓や平地へと移行していきました。その結果、古い道の多くは新しい道に置き換えられたり、宅地化やさらなる開発によって姿を消してしまいました。
古道の歴史と文化
この120選に選ばれた山岳古道は、ただの通り道ではありません。九州防衛のために防人たちが歩いた道、修験者たちが悟りを得るために利用した道、城を攻めるために整備された道、さらには江戸時代に庶民が寺社参詣のために訪れた道など、様々な歴史的背景を持つ道が今も山中に息づいています。
地質が脆く、多雨が続く日本では、使われなくなった道はまもなく草木で覆われてしまい、通行不可能になります。そのため、地域の歴史や文化と現存する道との関連を探ることが急務となっています。人々が利用していた古道の痕跡を辿り、伝説や記録に残る道を再発見するために、専門家たちが薮を払い、川を渡りながら足跡を探し続けています。
文化遺産としての古道
選定された古道は、ただの景観ではなく、文化遺産としての価値も持っています。これにより、日本列島の魅力再発見が期待され、訪れる人々にとっても新たな観点から歴史や文化に触れる機会が提供されることになります。古道を歩く体験を通じて、当時の人々の生活や営みを想像し、率直な歴史への関心を高めることができるのです。
そして、古道の維持にも地域のボランティアの力が欠かせません。草刈りや道の修復などの活動を通じて、これらの道を未来に残す努力が続けられています。古道を歩くことが人々にとって新たな楽しみの一環として定着することを願い、山を愛する人々にその魅力を広めたいと考えています。
未来に向けて、山岳古道の魅力を見直し、歴史の持つ深い意味を紐解いていく異なる視点からの冒険が待っています。