都市型畜産に向けた新たな環境対策の実証実験開始
NTT東日本神奈川事業部は2024年6月1日から、横山養豚の豚舎において新システム「AIOTICA」を導入し、環境対策の検証を行うことを発表しました。この取り組みは、周辺住民への臭気対策と豚舎内の環境改善を目的としています。
取り組みの背景
農林水産省が発表したデータによると、2020年には畜産業に関する苦情の52.2%が悪臭に関連するものでした。特に都市型畜産では、豚舎が住居に近いことから悪臭問題が深刻です。この状況を改善するために、NTT東日本神奈川事業部は2019年より、様々な実証実験を実施してきました。
例えば、温湿度データや豚の衛生状態を管理する「飼養環境の見える化」プロジェクトや、AIカメラを使用した豚の体重や体格の計測を行い、スマート畜産の実現を目指してきました。これまでの成果を基に、新たに「AIOTICA」を活用した臭気対策に取り組むことになりました。
検証概要
この実証実験は2024年6月から11月の予定で、横浜市泉区にある横山養豚場で行われます。主な検証項目は、以下のとおりです。
- - 温湿度管理
- - アンモニア臭気濃度分析
- - 風向・風速のモニタリング
- - 豚の体格・体温の測定
NTT東日本神奈川事業部は、環境改善のためのセンサーやモニタリング機器を設置し、詳細なデータ収集を行います。これにより、どのような環境が豚にとって最適であるかを分析し、具体的な対策を導き出していく予定です。
横山養豚の取り組み
横山養豚の代表、横山清氏は「横浜という都市での養豚は、環境対策がとても重要です。過去60年の歴史を有する私たちが、新たな技術を取り入れながら地域と共存し、良質な豚肉を提供していくことを目指しています」とコメントしています。
すでに同社ではオゾン噴霧装置を導入しており、今回の「AIOTICA」を通じてさらに進化させる意向を示しています。環境を見える化することは、臭気対策の効果を実証するだけでなく、地域貢献にも繋がると強調しました。
今後の展開
実証実験の結果をもとに、NTT東日本神奈川事業部と横山養豚は、周辺住民への臭気対策を講じ、より良い豚舎環境を整えることで、地域との調和を目指します。都市型畜産が抱える課題を解決し、持続可能な畜産業の実現に向けて邁進する姿勢を示しています。
この取り組みは、今後の畜産業界の発展に寄与するだけでなく、消費者にとってもより良質な豚肉の提供に繋がることが期待されています。