相模原市で宇宙産業の振興を目指す新たな連携が始動
神奈川県、相模原市、そして国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2023年8月22日に宇宙関連産業の振興を目的とした連携協定を締結しました。この協定は、神奈川県内での宇宙産業クラスターの形成と強化を目指し、地域経済の活性化や産業基盤の構築を促進するものです。
連携協定の目的と内容
この新たな協定には、いくつかの重要な目標があります。まず、神奈川県内企業が宇宙関連産業に参入しやすくするための環境整備を行います。また、宇宙関連企業の誘致を行い、起業支援を強化することも盛り込まれています。さらに、企業や自治体、学術機関の連携を促進し、国際的な協力や地域振興、観光に貢献する活動を展開することも含まれています。
教育や広報活動、イベントの実施などを通じて、宇宙に関する認識を高める取り組みも進められます。
相模原市の具体的な取り組み
相模原市では、「相模原アクセラレーションプログラム」というスタートアップ支援事業を通して、JAXAの宇宙探査イノベーションハブとの連携が実現しました。このプログラムは、宇宙関連テクノロジーを導入する企業や、スタートアップの支援に焦点を当てています。また、今年度からは、橋本駅を中心とした広域スタートアップ支援ネットワーク形成事業も開始され、技術系ベンチャーの支援が期待されています。
さらに、相模原市は、航空宇宙産業を「リーディング産業」と位置づけ、企業立地奨励金制度「STEP50」を設けています。これは、土地や建物の取得に対する最大20%の奨励金を通じて、航空宇宙産業への企業誘致を促進する制度です。
神奈川県の取り組み
神奈川県もこの取り組みに積極的に参加しています。今後、宇宙関連産業のクラスター形成を促進するため、企業同士の交流を深めるための拠点を整備し、ビジネスカンファレンス(宇宙サミット)を開催する計画です。また、衛星データを活用するプロジェクトに参加する企業への支援も行い、「宇宙なんちゃらこてつくん」というキャラクターを用いた広報活動を実施しています。
JAXAの役割
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、相模原市と神奈川県と連携し、JAXA相模原キャンパスの活用を図りつつ、県内のイベントへの協力や宇宙探査に関連する研究開発の成果を地域に還元する活動も行っています。ロケット打上げや探査ミッションの中継パブリックビューイングを通じて、地域住民の宇宙への興味を引き出し、意識の醸成に寄与します。
未来に向けて
この協定は、神奈川県、相模原市、JAXAの三者が持つ資源を最大限に活用し、宇宙関連産業への参入や新たなビジネス創出、人材育成を促進するための土台となることが期待されています。地域住民や企業が共に成長し、新たな宇宙ビジネスの芽を育てていくことで、相模原市が国内外で宇宙産業の中心地となる未来が描かれています。