バセドウ病治療の新たな展開
兵庫県神戸市の隈病院で、バセドウ病の治療に新たな光が差し込む研究が発表されました。この研究は、医療法人神甲会 隈病院の内科医・宮村慧太朗医師らによるもので、
国際的に権威ある内分泌学のジャーナル「JCEM」に掲載されました。研究の焦点は、広く使用されている抗甲状腺薬チアマゾール(メルカゾール®)の最小維持量にあり、これを調整することで再発リスクを大幅に低下させる可能性が示されています。
バセドウ病とは
バセドウ病は、甲状腺が過剰にホルモンを生成し、身体にさまざまな症状を引き起こす病気です。特に比較的若い世代の女性に多く見られますが、男性や高齢者にも発症することがあります。一般的には、抗甲状腺薬が治療に用いられ、症状が安定してくると投薬量は徐々に減少していきます。
この治療を続ける中で、投薬が最小量に達し、検査値が安定すれば、治療を一時中止することも可能となります。これを「寛解」と呼びますが、抗甲状腺薬を中止後の再発率は約50%に達することが国際的に報告されています。再発防止は長年の課題でした。
研究の成果
宮村医師らの研究では、最小維持量における繊細な調整が再発率を半分以下に改善することが明らかになりました。このアプローチの特長は、新たな薬剤を使用するのではなく、従来の治療法内で治療方法を工夫したことです。
これにより、患者も安心して医療を受けられる環境が整ったと言います。宮村医師は、2021年から販売されている2.5mg錠のチアマゾール(メルカゾール®)により、この研究が可能になったとコメントしています。この新しい薬剤は日本国内でのみ入手可能であるため、日本から世界への新しい知見の発信となります。
隈病院の取り組み
隈病院は、1932年の開院以来、甲状腺疾患に特化した専門病院として患者に寄り添った医療を提供しています。従来の医療だけでなく、心のケアにも注力し、患者の生活に沿った診療を大切にしています。最新の設備と専門医によるチーム医療が特徴で、安心して治療が受けられる環境を整えています。
また、医療の現場での研究や医療者教育にも力を注ぎ、国内外への情報発信により、甲状腺医療の発展に寄与しています。インフォームド・コンセントの実施を通じて、患者にとって分かりやすい説明と安心感を提供することにも力を入れています。
本研究の成果が、バセドウ病患者にとっての新たな治療方法の開発につながることを期待しています。