燃え殻の新作『これはただの夏』がついに文庫化
2024年8月28日、燃え殻による待望の最新刊『これはただの夏』が文庫版として発売されます。この作品は、25万部を突破した前作『ボクたちはみんな大人になれなかった』の「その後の物語」として位置付けられています。
著者の燃え殻は、新作を「アルバムの1曲、バラードのような静かな物語」と表現しています。人生の中で非常に特別な、唯一無二の「ただの夏」を通し、主人公は徐々に大人へと成長していきます。物語は、世界の「ふつう」から外れた主人公たちが、嘘に満ちた日常を生きながらも、前進しようとする姿を描いています。その過程で、一握りの希望に辿り着くことができるのか、静かな夜に寄り添う美しい物語となっています。
菊地成孔の解説も収録
新しい文庫版には、音楽家・菊地成孔氏によって書かれた解説も掲載されています。この解説は、菊地氏がプロデュースしたソロユニット「けもの」の青羊さんの楽曲「ただの夏」に由来しており、作品制作の背景や思いについて触れられています。「大変に難しい仕事を随分と気軽に引き受けてしまったなと反省しています」と率直に語る菊地氏の言葉も、作品に深みを与えています。
推薦コメントも注目
また、人気バンド「マカロニえんぴつ」のボーカリスト・はっとりさんからも推薦コメントが寄せられました。彼は、自身の経験と重ね合わせながら、「あの夏にもっと素直に会いに行けばよかった」と感情を吐露。前作を全力で独占したかった気持ちに対する対比として、新作は誰かに伝えたくなる感情を喚起させる旨を伝えています。「もう遅いと思うには、きっとまだ早い」という彼の言葉は、作品のテーマとも響き合います。
物語の概要
物語は、テレビ制作会社で働く秋吉、知人の結婚式で出会う風俗嬢の優香、育児放棄気味の母親と暮らす明菜、そして末期癌を抱える秋吉の同僚、大関の4人の視点が交差します。彼らは日常の中でさまざまな嘘や複雑な関係を抱えながら、特別な夏を過ごす中で、ほんの一瞬の幸せや希望にも触れることができます。
この作品を通じて、私たちは日常の中に潜む「本当」の物語や、人と人との絶妙な距離感を再発見することができるでしょう。長い人生の中での特別な瞬間を見逃さず、希望を探し続ける姿勢を求められる物語です。
書籍情報
- - 書名: これはただの夏
- - 著者名: 燃え殻
- - 発売日: 2024年8月28日
- - 造本: 新潮文庫
- - 定価: 649円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-100354-2
- - URL: 新潮社公式サイト
燃え殻の新作がどのような感動をもたらすのか、その物語を手に取るのが楽しみです。