京セラ、データエンジニア育成プログラムを実施
京セラ株式会社は、製造現場の発展に向けたデータエンジニア育成プログラムを展開しています。このプログラムは、IoTセンサーを活用したスマートファクトリー化の一環で、実践型の伴走教育を通じて、IT初心者を含む製造現場の技術者をデータエンジニアとして育成するものです。具体的には、データ活用プラットフォーム「MotionBoard」を利用し、現場の課題を解決するための実践的なスキルを身につけることを目指しています。
データエンジニア育成の背景
製造現場では、膨大なデータが収集されているにもかかわらず、その活用が十分ではありませんでした。特に、部材管理や原料調合の業務が属人化し、経験に頼った判断が行われていたため、効率的な運用が求められています。そこで京セラは、製造現場の技術者を教育し、データを基にした業務改善を推進する方針を打ち出しました。
MotionBoardによる課題解決
京セラが選んだ「MotionBoard」は、データの可視化とリアルタイムの情報更新が特徴のデータ活用プラットフォームです。このツールを用いることで、データを簡単に分析できる環境を整え、現場業務にダイレクトに関連する機能を提供しています。これにより、データ活用のハードルが下がり、技術者が自ら問題解決に取り組む姿勢が育まれています。
導入効果と具体的な改善例
京セラでは、このプログラムの開始以降、200人以上のデータ活用人材が育成され、部材管理に関する課題が大きく改善されました。具体的には、部材の在庫状況を可視化することで、過剰在庫を60%削減することに成功。また、部材廃棄量は94.6%減少し、業務にかかる作業負荷も75%軽減される結果となりました。
業務改善の具体例
- - 部材管理の標準化: 在庫や発注状況を簡単に確認できる画面を開発し、過剰発注を防ぎました。特に、在庫照会画面を利用し、有効期限が近いロット情報を提示することで在庫回転率が向上しています。
- - 素材調合業務の効率化: 原料の投入から製品検査までを一元管理するシステムが導入され、ベテランの経験則に基づいた判断から脱却。異常状態を視認しやすくすることで、トラブルの早期発見が可能となりました。
- - 機械学習を活用したプロセスの最適化: データサイエンス教育を通じて、製造工程での条件最適化に向けた機械学習モデルも構築されています。このモデルは、過去のデータを基に最適な調合条件を予測し、効率的な生産を支えています。
継続的な教育と展望
京セラでは、年間で約100人が参加できる教育プログラムが整備されており、受講者はMotionBoardを活用してデータを加工、整理、可視化するスキルを習得します。最終報告会では、参加者が得た成果を社内で共有し、「卒業生ボード」として公開される取り組みも行われています。これにより、現場の課題をデータで捉え、迅速に解決策に結びつけるサイクルが確立されているのです。
まとめ
京セラの取り組みは、製造業におけるデータ活用の新たなモデルを確立しつつあります。教育プログラムを通じて育成されたデータエンジニアたちが、企業の持続可能な成長を支える姿は、今後ますます注目されることでしょう。
京セラ株式会社について 詳細はこちら
MotionBoardについて 詳細はこちら