椅子研究家・織田憲嗣氏の自邸がデジタルアーカイブに!
2023年9月、株式会社ホロラボが進める革新プロジェクトが注目を集めています。北海道東神楽町に拠点を置く著名な椅子研究家である織田憲嗣氏の自邸「織田邸」が、最新の3D技術を使用してデジタル化されたのです。このプロジェクトは、2025年9月に計画されている織田氏の転居に先立ち、彼の長年にわたる膨大なコレクションとその空間的記憶を永遠に残すことを目指しています。
プロジェクトの背景
織田邸は、ハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンといった20世紀のデザイン巨匠たちによる名作椅子を含む数千点の家具や日用品が美しく配置された、まさに「生きたデザインミュージアム」でした。織田氏は「椅子は座るもの」と彼の哲学を反映し、その空間はデザイン愛好家や研究者にとって聖なる場所とされていました。しかし、転居によりこの貴重な空間が失われることが懸念され、ホロラボが手掛けるデジタルアーカイブが急務となったのです。
技術的なこだわり
ホロラボは、このプロジェクトの実行において、従来の方法を超えた独自のアプローチを採用しました。まず、地上型レーザースキャニング技術を用いて、5つの居室や地下収蔵庫、庭園を非常に高い精度でデジタル化。これにより、物理空間の正確な「器」を構築し、基礎となるデータを確保しました。
さらに、数千枚の写真を用いた3D Gaussian Splatting技術を駆使し、織田邸の質感や空気感を忠実に再現。たとえば、ウェグナー製の椅子の滑らかな木肌や、ポール・ヘニングセンの照明から漏れ出る光の微妙なニュアンス、さらに東川町の自然の美しさまでをデジタルに捕らえました。これにより、視聴者はただのデジタルコピーでなく、そこでの「生活感」をも感じ取ることができるのです。
特に注目すべきは、書斎にて織田氏自身の姿を3D空間データ内に合成した点です。このように人物の存在感を感じさせることで、さらなる価値あるアーカイブを実現しました。
今後の展望
このアーカイブの公開に関する計画もあり、織田コレクション協力会が会員向けの公開を検討しています。デジタル化された「織田邸」は、未来の世代にデザインの歴史を伝える重要な資産となるでしょう。
織田憲嗣のプロフィール
1946年に高知県で生まれた織田憲嗣氏は、イラストレーターとしても著名で、特に家具研究に特化した知識が評価されています。彼のコレクションは質・量ともに世界的なレベルであるとされ、2025年からの展覧会開催も予定されています。
株式会社ホロラボについて
ホロラボは、最新技術を用いて文化財のデジタル保存や新しい体験価値の創造に取り組んでいます。VRやARなど、実社会に実装される新たなテクノロジーの研究開発を通じて、デザインと技術の融合を推進しています。