看護師白書2024年度版の発表内容の考察
株式会社マイナビが運営する看護人材紹介サービス『マイナビ看護師』は、2024年度版となる『看護師白書』を発表しました。今回の調査では、看護師2,564名および492件の人材紹介サービスの利用企業を対象に、現在の看護現場の実態と課題について詳しいデータが示されました。
看護師の処遇改善が進展
調査によると、約7割の事業者が看護師の処遇改善に取り組んでおり、前年よりも21.9ポイントも増加しています。具体的には、賃上げや労働環境の改善の必要性が広く認識され、令和6年度の診療報酬改定においても、看護職員の賃上げが強く推進されています。これにより、『ベースアップ評価料』の新設など、看護師の給与向上に向けた制度改革が進められています。
労働環境の改善が必要
しかし同時に、9割以上の事業者が看護師の労働環境改善に関する取り組みが必要であると認識しているものの、そのうち約3分の1は具体的な実施に至っていないことが分かりました。業務過多やリソース不足が原因で、改善の手を打つ余裕がない事業者が存在するという非常に厳しい現実が浮き彫りになりました。
患者に十分な看護が提供できていない
調査結果では、看護師の4割以上が「患者に十分な看護が提供できていない」と感じていることも明らかになりました。この感覚は特に、看護師が人手不足であると感じること、または看護以外の業務が多く含まれていることから来ています。患者に質の高い看護を提供するためには、看護師の人数を増やし、業務流れの効率化を進めることが重要です。
ハラスメントの実態
さらに、約8割の看護師がこれまでの職場でハラスメントの経験があるか、目撃したことがあると回答しました。特に上司からのハラスメントが69.7%を占め、これは職場環境の悪化にも寄与しています。具体的には、パワーハラスメントやマタニティハラスメントといった問題が多く見られ、これが看護師たちの働きやすさに大きな影響を及ぼしています。このような職場環境では、従業員が安心して働ける空間を確保することがより一層求められます。
結論
調査の総評として、看護師の処遇改善は進んでいるものの、労働環境や職場でのハラスメント問題は依然として解決が求められていることが分かりました。これらの課題に真摯に向き合うことが、看護職の将来を明るくする重要な一歩となるでしょう。
今後もマイナビは、看護師の声に耳を傾けながら、より良い職場環境の構築に向けた取り組みを続けていく意向を表明しています。