旭川市がRPA導入で業務改善を実現
北海道に位置する旭川市は、近年の業務効率化に向けた取り組みとして、RPA(Robotic Process Automation)ツール「BizRobo!」を導入しました。この施策により、庁内のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、53業務の自動化を進め、年間6460時間相当の人的リソースを創出したことが発表されています。
RPA導入の背景と目的
旭川市、人口約31万人で、約3000人の職員が勤務している市役所では、業務効率化が大きな課題となっていました。2020年度に初めてRPAを導入したものの、限られた職員による運用では全庁的な拡大には至らず、わずか8業務の自動化にとどまりました。この背景には、1端末につき1ライセンスという制約のある価格体系や、ロボット利用中に端末が占有されて他の作業が行えないという技術的な障壁がありました。また、RPA開発に携わる職員の数が限られていたことも、自動化の進展を妨げる要因となっていました。
こうした課題を克服するため、旭川市は2022年に再度RPAの活用を検討し、公募型プロポーザル方式でサーバ型ツール「BizRobo! Lite」を選定しました。選定の理由は、フローティングライセンスが導入できるため、今後の業務拡大に合わせて柔軟に運用できることでした。これにより、使用する端末台数にかかわらず、数ライセンスで全庁的なRPAの導入が可能になりました。
自動化の実績とその効果
RPA導入後、旭川市は令和4年度から全庁の約27課で、53業務に「BizRobo!」を活用しています。自動化された業務には、税情報、年金、職員の給与、各種市の事業情報の処理が含まれます。特に教育委員会の就学援助の認定業務では、紙の申請書の処理をRPAによる自動化により効率化しました。申請者の情報を用いて、システムでの手続きが迅速に行われるようになったことが、業務のスピードアップに貢献しました。
さらに、バスカードの交付実績管理業務においても、従来3人で行っていた手動によるデータ入力がRPAとAI-OCRを組み合わせることによって、1人で処理できるようになり、作業時間が大幅に短縮されました。この結果、旭川市全体で年間6460時間の働く時間が創出され、職員の負担軽減に寄与しています。併せて、ヒューマンエラーの削減や、行政のペーパーレス化推進にもつながり、効率的な運営体制が整いつつあります。
今後の展望
旭川市は、さらなる業務変革を目指し、2025年には「旭川市DX加速化方針」を発表する予定です。この方針の中でもRPAは重要な役割を果たし、業務効率化を進める手段として位置づけられています。特に、政府のガバメントクラウドに向けたシステム移行と連携させることで、よりスムーズな業務処理が期待されています。
市職員からも、RPAの導入が残業の削減や業務効率の向上に寄与しているとの声が上がっており、今後もRPAを活用した業務改善が継続的に行われる見込みです。旭川市におけるこの取り組みは、他の自治体の参考にもなるでしょう。オープン株式会社は、これからも自治体の業務をサポートし、持続可能な働き方を実現するための支援を行っていく方針です。