2030年までに進化する高級ファッションの中古市場、3,600億ドル到達へ

中古ファッション市場の未来

ファッションや高級品の中古市場は、持続可能性や個性的なスタイルを求める消費者の期待を背景に、今後ますます成長する見込みです。ボストンコンサルティンググループ（BCG）とVestiaire Collectiveが発表した調査レポート「Resale’s Next Chapter」によれば、この市場の規模は2030年にはおよそ3,600億ドルに達するとされています。

市場の成長予測

2022年に1,300億ドルであった中古市場は、2025年までに2,100〜2,200億ドルに成長する見込みです。この成長の背景には、中古品がファッション・高級品全体の売上の約8％を占めている点が挙げられます。また、EUを中心とした循環型経済に向けた規制の強化がこの市場を後押ししています。2025年から2030年までの年平均成長率は10％に達する見通しで、これは新品市場の成長率の約3倍です。

購入の動機とZ世代の影響

調査によると、中古品を購入する主な理由は「手頃な価格」で、約80％の回答者がこの点を挙げています。そのほか、「豊富な種類とユニークさ」や「環境への優しさ」といった理由も支持されています。また、特にZ世代では、所有アイテムの3割以上を中古品が占めており、市場の主要なドライバーとされていることがわかりました。この世代は手の届きやすい価格に加え、限定品や掘り出し物を見つける楽しさも重視しているようです。

さらに、約80％のZ世代が中古品を通じて新たなブランドを知ったと答えており、これが彼らの消費行動において大きな影響を与えていることが明らかになりました。

デジタル製品パスポートの重要性

ファッション業界では、製品情報をライフサイクル全体で管理する「デジタル製品パスポート（DPP）」が注目されています。これは中古品の信頼性を向上させるための重要な手段とされ、販売時点以降のデータを体系的に記録することが、消費者の信頼獲得につながります。しかし、DPPの認知度は低く、調査の結果、65％が「聞いたことがない」と回答しました。

BCGのCatharina Martinez-Pardo氏は、「DPPは顧客との信頼を築くための戦略的ツールとして進化している」とし、その重要性を強調しています。この仕組みは、製品の真正性を保証し、消費者の購入時の不安を軽減する効果が期待されています。