新たな撥水加工技術の誕生
群馬県桐生市に位置する朝倉染布株式会社が、創業130年の歴史を持つ伝統的な染色加工工場として、業界初となるPFASフリーの非フッ素撥水加工「dewelry®0(デュエリーゼロ)」を開発しました。この革新的な技術により、日常生活での撥水性が大幅に向上し、特に皮脂や油分に強い性質を持つことが特長です。
PFASとは何か
PFAS(パーフルオロアルキル化合物)は多くの産業で利用されてきた有機フッ素化合物の総称ですが、環境への影響が懸念されています。日本国内でも、PFOSやPFOAなどの規制が強化されており、アパレル業界でも非フッ素化への移行が急務となっています。特に、PFASが環境に残留する問題から、多くの企業が製品開発を見直す必要に迫られています。
dewelry®0の特長
「dewelry®0」では、非フッ素撥水加工における大きな課題であった「皮脂汚れに強い」という特性を持たせることに成功しました。この加工技術の大きなポイントは以下の通りです:
- - 皮脂汚れに強い: 当社独自の技術により、皮脂や油による撥水機能の低下を克服。
- - 超撥水性: 蓮の葉の特性を再現し、水が生地上を転がるような撥水性能を実現。
- - 高い洗濯耐久性: JIS法に基づく試験で、100回の洗濯後も4級以上の撥水性を維持。
- - 柔らかな風合い: 生地の本来の風合いを損なわず、フッ素系撥水剤に匹敵する性能を保持。
皮脂汚れに強い理由
皮脂が付着しても撥水性が維持される理由は、この加工が皮脂に対する耐性を持つ成分を採用しているためです。微細な凹凸がある表面構造によって、皮脂汚れが付きにくくなり、良好な撥水性が実現されます。これは従来の撥水加工では難しかったことです。
洗濯耐久性
「dewelry®0」の試験では、100回洗濯後も高い撥水性を維持することが確認されています。この特徴は、普段の使用においても撥水効果が長持ちし、衣服の使用感を大幅に向上させるものです。
1892年創業の朝倉染布株式会社
朝倉染布は、1892年に創業され、桐生市で織物の歴史を築いてきました。今後も新たな加工技術の開発に注力し、「dewelry®0」を通じて環境に優しく、ユーザーにとって使いやすい製品を提供していきます。この新しい非フッ素撥水加工は、2025年10月に開催されるファッションワールド東京で展示される予定です。
まとめ
「dewelry®0」は、PFAS規制に対応しつつ、高い撥水性と皮脂への耐性を兼ね備えた画期的な技術です。この試みは、環境への配慮だけでなく、日常生活を豊かにする新たな選択肢として、多くの場面での活躍が期待されます。これからのアパレル製品に対する新基準を打ち立てる手助けとなることでしょう。