2025年の大阪・関西万博において、スコットランドが特別に設けた「ヘルステックデー」が6月26日に開催された。このイベントは、スコットランド政府と駐日英国大使館、スコットランド国際開発庁(SDI)が推進し、日本とのヘルステック分野における関係深化を目的としている。具体的には、通商使節団が日本を訪れ、東京でのセミナーやレセプション、大阪での万博関連イベント、さらに医療機器関連の見本市「Japan Health 2025」への参加を通じて、スコットランドの医療技術を紹介した。
通商使節団の代表にはスコットランド政府の保健福祉担当大臣ニール・グレイが名を連ね、彼をはじめとする革新的なヘルステック企業や関係者たちが集結。パネルディスカッションでは、AI、ロボティクス、遠隔医療、認知症ケアといった分野における最新の技術やソリューションが紹介され、日本が直面する高齢化問題や慢性疾患の課題に対して、スコットランドが持つデータ管理のモデルが注目された。 グレイ大臣は、「スコットランドはヨーロッパでも最大規模のヘルステックエコシステムを有し、産業界や学術機関、公共セクターの連携が強みです」と強調した。彼は、国際的な健康課題の解決に向け、スコットランドの新しいアプローチが必要とされていることを訴えた。
「スコットランド ヘルスケア イノベーション・エコシステム」についてのセッションでは、地域のイノベーション・ハブの取り組みが紹介され、医療従事者や研究者、企業の連携がいかに重要かを訴えた。特に、高齢化社会という共通の課題に対する迅速かつ効果的なアプローチの必要性が強調された。また、スコットランドが進める認知症ケア分野においては、先進的な取り組みと、すでにある日本企業との成功事例が共有された。
具体的な参加企業の活動としては、Touchlabが電子皮膚技術を使ってロボットに触覚を与え、Konpanionが感情支援ロボットを開発し孤独感の軽減に寄与している。Nami Surgicalは高精度な超音波メスを開発し、今後ロボット手術への応用が期待されている。このような新たな技術の紹介は、参加者たちに深い刺激を提供し、スコットランドの技術力を示す良い機会となった。
これらの取り組みは、スコットランドが保有する豊富な医療データを活用しながら、国際的な取り組みを進める際の重要な支えとなっている。高い信頼性と十分な科学的検証が、企業にとっての付加価値をもたらしているのだ。スコットランドと日本の連携は、相互理解と価値の共有をもとに、イノベーションの社会実装と国際展開を加速させるカギとなるだろう。
この通商使節団には、NHSスコットランドの専門家たちも参加し、デジタルヘルスの最前線での経験を共有。スコットランド政府は、このような国際的なイベントを通じて、ヘルステック産業の貿易や経済価値を更に拡大させることを目指している。これにより、日本とのパートナーシップ強化が図られ、ジオグラフィカルな壁を越えた真の国際協力が実現される。
今後もスコットランド政府は、「Scotland Day」と題した一連のイベントを実施していく予定であり、各分野におけるイノベーションを日本に伝えることに注力する。5月にはヘルステックに続き、9月に洋上風力産業に関するプログラムを行う。このような多岐にわたる活動が、日本とスコットランドの新たな連携創出の起点となるだろう。
関連情報は、スコットランド国際開発庁の公式ウェブサイトにて確認できる。