女性の視点から探る人類の進化
皆さん、新たな図鑑『カラー図鑑フェミナ・サピエンス全史人類の進化と女性の祖先』が6月25日に発売されます。これは女性をテーマにした人類の進化を描いたユニークな図鑑です。この本の特徴は、歴代の女性の化石人類にスポットを当て、それにまつわる豊かなストーリーを展開しているところです。
本書には、440万年前に二足歩行をしながらも木の上でも暮らしていた"アルディ"や、人類の祖先として有名な"ルーシー"、そして"グラン・ドリーナの少女"、愛されるキャラクターの"ベンハミーナ"など、多様な女性の化石人類について詳しく紹介されています。これらの豊かなストーリーは、化石や古代DNAの研究をもとに、彼女たちの日常や家族との絆など、興味深いエピソードが詰まっています。
人類の歴史を掘り下げる本書は、約700万年前から現在のホモ・サピエンスまで、進化の過程を描いています。視覚的な魅力を持つカラフルなイラストと共に、当時の動植物や考古学的な遺物も描かれており、読者は人類の進化の道のりを驚きと共に楽しむことができるでしょう。
フェミナ・サピエンスとは?
今回の図鑑が「フェミナ・サピエンス」という名称を用いている背景には、歴史的に男性優遇だった科学の場において、女性や子供の姿が忘れられてきたことがあります。進化の研究で使用されてきた化石のほとんどが男性のものである現実を考えると、これは非常に重要な指摘です。そのため、女性の進化を理解せずしては、人類全体の進化も語れないという著者の強いメッセージが込められています。
この本が、「正しい」人類進化の道のりを考えるきっかけとなることを望んでいます。『フェミナ(femina)』というラテン語の女性を意味する言葉が象徴するように、本書は男女平等な視点から人類史を捉えることを目指しています。
女性研究者へのリスペクト
また、本書では各国の女性研究者たちも紹介されています。考古学や先史時代の研究は長い間、男性の視点が優位でしたが、女性研究者たちの進出が新たな可能性を広げています。これにより、彼女たちの努力や成果を称賛し、また次世代の研究者たちへの道しるべとなることを狙っています。
著者と監修者の紹介
著者のマルタ・ユストス氏は人類学者として、スペイン・ブルゴスの人類進化博物館でコミュニケーターとして長年活躍してきました。また、イラストを担当するのはディエゴ・ロドリゲス・ロブレド氏で、先史時代の知識をベースにした美しいイラストを描くことに情熱を注いでいます。監修は、国立科学博物館の館長である篠田謙一氏がつとめ、分子人類学の専門家としての見識が生かされています。
このような背景を持つ本書は、ただの図鑑ではなく、より深い人類の理解を促進するための重要なテキストと言えるでしょう。
書籍情報
- - 発売日:2025年6月25日
- - ISBN:978-4-86706-057-5
- - 定価:2970円(本体2700円+税)
- - ページ数:41ページ
- - 発行元:西村書店
全国の書店及びオンラインストアで販売されます。興味がある方はぜひ手に取って、「フェミナ・サピエンス」の世界をお楽しみください。
最後に、国立科学博物館で特別展「氷河期展人類が見た4万年前の世界」が開催される予定です。こちらもぜひお立ち寄りください。開催日は2025年7月12日から10月13日までです。