南アルプスに生きる
2021年、32歳の小宮山花さんが南アルプスの光小屋の管理人としての新たな生活をスタートさせました。この作品『私、山小屋はじめます』は、彼女がどのような試練に立ち向かい、成長していったのかを語った4年間の記録です。
新たな挑戦と不安の中で
小宮山さんによると、最初の一歩は簡単ではありませんでした。「山小屋の管理人は、まだ募集してますか?女性でもできますか?」と、2020年に思い切って応募したことがすべての始まりでした。2021年まで続いたコロナ禍の影響もあり、多くの不安を抱えつつ山小屋での新生活を迎えました。
期待と現実のギャップ
彼女が務める光小屋は、遠くて美しい山々に囲まれた場所にあり、その到達には片道9時間半かかる道のりがあります。初めはその遠さにとまどうこともあったと言いますが、実際に山を登っていくと、高みに待っている美しい静寂と感動の景色に思わず感動しました。「テカリ、どんだけ遠いんだよ〜!」と思わず突っ込んだこともあるとか。
コロナの影響と初年度の挫折
しかし、2021年は開業を果たしたものの、コロナ禍により光小屋の全面休業を余儀なくされました。小宮山さんは「初年度ははじめられませんでした!」と振り返ります。彼女は、さまざまな出来事を通じて、どうにか2021年を乗り越え、自らの役割を見つけ出していくことになりました。
2年目の成長と山での挑戦
2022年には、再び挑戦の年を迎えます。「今年こそ、山小屋はじめます!」という気持ちで彼女は新たなシーズンに挑みました。オープン直前はドタバタの準備に忙殺されるも、徐々に自分のスタイルを確立していき、登山道の整備やヘリコプターを使った荷物の上げ下げなど、さまざまな体験を重ねていきました。
新たな伝説を生むために
光小屋の料理や体験も進化し、小宮山さん自らが「テカリの豚汁定食」を考案し、名物として地元や訪問客に提供するなど、山小屋としての新たな試みを行いました。「山も良かったけど、光小屋も良かった」と、お客さんに帰り道でそう思ってもらえることが、彼女の使命感とやりがいにつながりました。
アウトドアの素晴らしさを伝える
この書籍はただの自伝ではなく、女性が山小屋を通じてどのようにしてコミュニティと関わり、自然と触れ合っていくかを伝える貴重な証言でもあります。彼女の挑戦は、今後の女性の働き方やアウトドア活動のあり方について多くの示唆を与えてくれることでしょう。
まとめ
小宮山花さんの『私、山小屋はじめます』は、ただ山で働く女性の物語ではなく、自然との共生、挑戦の姿勢、そして人とのつながりを描く感動的な一冊です。5月19日発売の本書を通じて、彼女の経験に触れ、アウトドアの魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。
書誌情報
- - 書名: 私、山小屋はじめます
- - 著者: 小宮山 花
- - 発売日: 2025年5月19日
- - 仕様: 四六判/232ページ
- - 定価: 1980円(本体1800円 + 税10%)
興味のある方はぜひ、書店で手に取ってみてください。