京セラが実海域試験で水中光通信の世界最速750Mbpsを達成!
京セラが実海域試験で750Mbpsを達成
京セラ株式会社が静岡県沼津市沖で行った実海域試験において、短距離水中光無線通信の世界最速レベルである750Mbpsの通信速度を達成しました。これは、同社が開発したGaNレーザーを利用した水中通信システムの成果であり、海洋調査やスマート養殖分野において新たな可能性を開く技術です。
実海域試験の背景
近年、海洋資源の活用や環境保全が世界的に重要視されています。水中ドローンや自律型無人潜水機(AUV)などが注目を浴びており、特にAIを活用したスマート養殖や水中インフラの点検が期待されています。しかし、水中では電波が減衰しやすく、水中通信においては従来の音響通信が使用されています。この手法は通信速度が遅く、大容量データの送信に苦労していました。これに対し、光を用いる水中通信はその特性から減衰が少なく、高速で大容量のデータ伝送が可能とされています。
京セラの水中光無線通信システム
京セラの水中光無線通信システムは、長年の通信技術と光学技術の結晶です。GaN系青色半導体レーザーと高速伝送技術を組み合わせ、最大通信速度1Gbpsを実現したプロトタイプを開発しました。この試験において、750Mbpsの通信速度を安定的に確保し、海中の厳しい条件でも耐えうる性能を確認しました。
実験の詳細
実験は2025年8月19日から21日まで実施され、環境測定等も行われました。濁度、水温、塩分濃度などの計測を通じて、光通信の通信速度と通信距離の関係を検証しました。特に、外部光の影響を受けないことが確認され、様々な環境条件下でも安定したデータ伝送が行えることが明らかになりました。
今後の展開
今回の技術を駆使することで、水中ドローンやロボットによる超高速データ伝送が可能となり、海洋観測機器から大容量データを効率的に収集することができます。さらに、スマート養殖などの新たな水中センサーネットワークも実現し、従来の通信方式では実現できなかった次世代海洋IoTの構築を進めています。
京セラは、この革新的な水中光無線通信システムの商業化を目指し、2027年までにさらに進化させていく方針です。この技術は、地球規模での海洋環境モニタリングや資源管理に無限の可能性をもたらし、持続可能な未来社会の実現へと導くと期待されています。