東京大学の駒場キャンパスで、11月24日に「安野貴博氏とコロナ禍を振り返る」と題したシンポジウムが開催されました。この行事は、ルール形成戦略機構が実施したものです。
シンポジウムには、安野貴博氏がゲストとして登壇し、150名以上の来場者を前にコロナ禍におけるさまざまな影響について学生たちと議論しました。参加者は主に東京大学の学生で、コロナ禍がどのように若者や政治、デジタル社会に影響を及ぼしたのかを深掘りしていきました。
コロナ禍の若者
まず最初のセッションでは「コロナ禍の若者」がテーマとなり、大学生による独自の調査データが提示されました。このデータによると、約60〜70%の若者が「若者が感染を広げている」とする主張に対して否定的でした。この傾向は、メディアにおける若者の過小評価に対する反発を示していると安野氏は分析する。実際、感染症のリスクは身体的健康だけではなく、社会的な不安や行動規制に起因する精神的健康にも影響を与えているのではないかとの指摘もあり、コロナ禍を通じた若者の苦労が過小評価されている点に言及しました。彼は、感染症に関する規制のリスクを明示することが重要であると強調しました。
コロナ禍の政治
続いて「コロナ禍の政治」についても議論が交わされました。ここでは、自粛要請の法的曖昧さについて検証し、多くの国民がその要請に従ったことが、逆に国の権力を抑制する結果になったと安野氏は述べました。今後は、透明性をもった規制が求められ、誰がどのような問題に直面しているのかを理解することが重要であると告げました。彼は、国が強い権威を持つこと自体に疑問を呈し、その必要性を再考することが求められると主張しました。
コロナ禍のデジタル社会
最後に「コロナ禍のデジタル社会」について語られ、リモート授業を経験した若者たちの割合が8割以上に達したという結果が共有されました。安野氏は、コロナ禍が日本のデジタル活用において3〜4年分の進展をもたらしたと評価しました。特に、オンラインでのコミュニケーションや会議の普及がもたらしたポジティブな側面に注目し、AI技術を活用した新しい言論空間の構築が重要であると強調しました。
シンポジウムの最後には、参加者からの質問に安野氏が答える質疑応答セッションが行われ、活発な意見交換がありました。司会を務めた東京大学法学部の伊丹裕貴氏は、「コロナ禍は有事だった。その教訓を今後の社会や政治に生かす必要がある」と語りました。また、ルール形成戦略機構は今後も、コロナを振り返る企画を継続していくと宣言しています。今後のイベント情報などは、公式ウェブサイトやLINEで発信されるとのことです。
このようなシンポジウムを通して、若者がコロナ禍から学んだことを活かしていく姿勢が求められる時代が訪れたことを感じさせられました。