退職代行サービスの実態とその背景に迫る調査結果
株式会社アイデムが実施した最新の調査によると、退職代行サービスの認知度や利用意向について興味深い結果が得られました。2024年10月1日から31日までの期間に"イーアイデム"を通じて求人に応募した会員を対象に行われた調査では、退職代行サービスを使ったことがあると答えた人はわずか3.2%で、サービスの存在について知っている人は全体の約6割に上ったことがわかりました。
認知度の高さと年代別の傾向
調査結果によると、「どんなサービスか知っている」20.6%、また「聞いたことがある」40.6%という結果からも、退職代行サービスに対する認知は高まっていることが浮き彫りになりました。
特に、40代と50代ではこの認知度が70%を超える一方で、30代以下や60代以上の層では、やや低調な結果となり、社会全体での認識の差が見られました。
興味深い点として、30代以下の層では「知らない」と回答した割合が44.8%に達したものの、この年代でも使ったことがあるという人は12.6%に達し、他の世代に比べて高いことが確認されました。これは、SNSを活用する若者たちが情報を発信し、自らの手で必要な情報を探しに行く傾向に起因している可能性があります。
利用を検討する理由とは?
退職代行サービスを利用したいと考える理由としては、最も多く選ばれたのが「人間関係のトラブルがあり、言い出しにくい」というもので32.3%を占め、この背景には職場でのコミュニケーション不足が考えられます。次いで「ハラスメントを受けた」という理由も21.3%と高く、特に50代以下の層ではこの理由が25%を上回りました。このことからも、上司との関係が円滑でない場合に退職代行サービスを選ぶ人が多いことが推察されます。
男女別の傾向
さらに、男女別に見ていくと、パートやアルバイトの求人に応募する理由では、男性が「自宅から通いやすい」という理由を重視する傾向が見られ、一方女性は「扶養の範囲内で働ける」という理由が重視されるなど、働き方に関する意識の違いが浮かび上がりました。また、正社員希望者においても、男性は賃金やキャリア形成に関連した選択肢を重視する一方で、女性は通勤の利便性や自分の能力を活かせる仕事を重視することが確認されました。
調査概要と分析結果
この調査は554名の有効回答をもとに、インターネットを通じて行われたもので、退職代行サービスの普及に向けた市場の状況を把握する目的がありました。調査結果からは、退職意向がある場合でも、引き留められることや、人間関係のトラブルが障壁となっていることが背景にあることが明らかとなりました。
結論として
この調査報告は、退職代行サービスが企業内のコミュニケーション問題やハラスメントを背景に、徐々にその存在感を増していることを示しています。特に若い世代における認知度の差異を考慮すると、今後の情報提供の工夫が求められるでしょう。企業は、社員が安心して退職を選択できるような環境作りを進める必要があります。