若手社員が管理職を避ける理由とは？山梨からの改革案

日本の労働現場において、特に地方中小企業では若手社員が「管理職になりたくない」と考える傾向が広がっています。この背景には、組織の中での「大人の学級崩壊」と呼ばれる現象があり、それが職場環境や生産性に大きな影響を及ぼしています。こうした問題に立ち向かうべく、山梨県を拠点に活動する株式会社イマジナが、新たな教育プログラムをスタートさせました。

大人の学級崩壊とは？

現在、日本企業の多くでは、自己の権利を主張することが先行し、組織全体の調和が乱れている状況が見受けられます。「多様性」や「コンプライアンス」といった社会的価値観が強調される中で、従業員は互いに配慮し合うことを忘れ、結果として管理職が疲弊し、職場全体がギクシャクした状態になっています。特に地方中小企業では、この風潮が「管理職の罰ゲーム化」とも呼ばれ、83%の若手社員が管理職ポジションを拒んでいることが調査で明らかになりました。このような状況は、黒字であっても廃業に至る危険性を孕んでおり、組織の健全性を脅かしています。

イマジナの取り組み

こうした悩みを解決するため、イマジナは「やまなしキャリアアップ・ユニバーシティ（CUU）」において「チームを前向きに導くネクストリーダー養成講座」と「経営視点で組織を動かす上級管理職トレーニング講座」を開講しました。このプログラムでは、従来のスキル研修とは異なり、根本的な教育を通じて、思考の土台を再構築することを目指しています。

ネクストリーダー養成講座の内容

講座では、「研修は話を聞く場ではなく、行動をする場である」と強調され、受講者には具体的な「質問力」を養うことが求められました。これは、行動を伴う変革を可能にするための非常に重要なスキルです。また、IQ偏重の限界を指摘し、AI時代には特に高いEQ（人間力）が求められるという考え方も紹介されました。これにより、参加者は共感できるリーダーとしての筋力を、高める必要があることを理解しました。

上級管理職講座の内容

では、上級管理職講座では世界的に評価されている「ロレックス」を例に、投資思考を学びます。日本企業がかつての栄光を失った理由の一つとして「教育投資の欠如」が指摘され、ロレックスとの比較を通じて、機能以上のストーリーや理念への投資の価値が伝えられました。特に、「心理的安全性」という概念の再定義も重要です。理念を共有することで生まれる、自由な意見交換が活発な職場環境を形成するためには、理念が全体の結束を生むものであるとされています。

参加者の反応と今後の展望

このプログラムに参加した受講者たちからは、自己のスタンスを見直すきっかけとなったという感想が多く聞かれました。「スキルの問題だと思っていたが、実は姿勢の問題だと気づいた」という声や、「理念に基づき部下と向き合う勇気が湧いた」といった前向きな意見が挙がっています。これは、行動変容を促すための第一歩に他なりません。

イマジナは、今回の「山梨モデル」を全国の自治体や地域企業へと展開し、日本全体の人的資本経営の質を向上させることを目指しています。これにより、企業文化を改革し、明るい未来を築く一助となることを期待しています。