はじめに
こどもたちの成長において「体験」は非常に重要な要素です。家庭の経済状況によっては、こどもたちの成長に必要な体験が不足し、社会的な格差が生じてしまうことがあります。この「体験格差」を解決するため、認定NPO法人フローレンスが8月1日に新たなプラットフォーム「こども冒険バンク」を立ち上げました。本記事では、このプラットフォームの目的、仕組み、そして提供される体験について詳しくご紹介します。
体験格差とは何か?
体験格差とは、家庭の経済的な状況やその他の事情により、こどもたちが得られる体験の機会に差があることを指します。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンによると、世帯年収300万円未満の家庭においては、3人に1人が学校外の体験をしたことがないという調査結果が出ています。こうした背景には、文化鑑賞、スポーツ、旅行、習い事など多様な体験が経済的理由で制限されている現実があります。
こども冒険バンクの概要
「こども冒険バンク」は、体験が不足している家庭が、企業や団体が無償で提供する体験コンテンツを自由に選び、申し込むことができるプラットフォームです。利用対象は、経済的に厳しい環境にある家庭やひとり親家庭です。対象家庭は、LINE公式アカウントを友だち追加し、登録申請をすることでプラットフォームの会員となります。
一つのアカウントに対して、大人2名、こども4名の最大6名まで登録でき、登録人数によって月初に冒険チケットが付与されます。このチケットを使用することで、多様な体験に申し込むことが可能です。
提供される体験内容
サービス開始時には、さまざまな企業や団体から約1,700枠の体験が提供される予定です。たとえば、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが提供する『純度100%の暗闇』体験では、視覚障害者がガイドとなり、互いに協力しながらコミュニケーションを深める新しい体験が楽しめます。さらに、日本航空株式会社による機内食体験や格納庫見学、東洋製罐グループホールディングスの容器文化ミュージアム見学など、多彩な体験が計画されています。
体験格差解消の意義
幼少期に多様な体験を持つことは、こどもたちの成長や自立感、自己肯定感に良い影響を与えることが、多くの研究で示されています。また、体験を通じて育まれる非認知能力は、将来社会に出た際にも重要なスキルとなります。「こども冒険バンク」は、そうした体験の機会を平等に提供することで、貧困の連鎖を断ち、すべての子どもたちが豊かな人生を送る手助けとなることを目指しています。
フローレンスの取り組み
フローレンスは2004年に設立され、こどもや家庭への支援事業を幅広く展開してきました。「こども宅食」などの事業を通じて、相対的貧困の家庭への支援を行っており、体験不足を感じている家庭への具体的な解決策として「こども冒険バンク」を開発しました。こうした取り組みを通じて、フローレンスは日本の未来を担うこどもたちに夢や希望を提供し、社会全体の意識を変えていくことを目指しています。
まとめ
「こども冒険バンク」は、体験の平等を実現し、すべてのこどもたちに豊かな経験を提供する新たなプラットフォームです。この取り組みにより、体験に差があるこどもたちがサポートを受け、未来へ向かう自信を育むことが期待されています。フローレンスの活動に注目し、さらなる進展を見守りましょう。