シンジケートローン契約締結の背景
2023年3月29日、医療歯科用部品を受注する飯能精密工業株式会社と新栄工業がシンジケートローン契約を締結しました。この契約の目的は、飯能精密工業の多重債務問題を解決し、生産キャパシティーを向上させるための資金調達です。飯能精密工業は埼玉県飯能市に位置し、長い業歴を持っているものの、後継者問題や独自再生が困難な状況に直面していました。一方、新栄工業はEV関連市場の成長に伴い、生産能力に限界を感じていました。両社のニーズを受けて、金融機関が橋渡しをする形で今回の提携が実現しました。
新たなホールディングスの設立
シンジケートローンを活用することで、飯能精密工業の全株式が新栄工業に譲渡され、新たに「新栄ホールディングス株式会社」が設立されました。このホールディングスは、飲み込んだ3社をグループとして統括し、財務基盤を安定させる狙いがあります。具体的には、リファイナンス資金を確保した後、インターカンパニーローンを利用して既存の債務を一括で返済し、飯能精密工業の再生を図ります。
シンジケートローンの詳細
今回のシンジケートローンは、組成総額5.2億円であり、千葉銀行と京葉銀行がアレンジャーを務めました。また、千葉信用金庫と飯能信用金庫も参加しています。資金はグループ内企業のリファイナンス用に活用されます。契約締結日は2023年3月29日、実行日が同年3月31日です。この計画は、アポロ工業の生産拠点確立や、飯能精密工業の財務状況を一新するために重要な一歩とされています。
各社の事業概要
所在地:埼玉県飯能市芦苅場783-8
資本金:4050万円
売上高:2.7億円
事業内容:金属プレス加工及びその組立等
設立:1970年5月
所在地:千葉県千葉市花見川区天戸町1304-1
資本金:300万円
売上高:6.0億円
事業内容:金属プレス加工及びその組立等
設立:1985年10月
所在地:埼玉県吉川市三輪野江2405
資本金:2000万円
売上高:2.4億円
事業内容:金属プレス加工及び金型製作
設立:1971年8月
まとめ
シンジケートローン契約の締結は、飯能精密工業にとって自社再生のための大きな契機となるでしょう。この提携によって、医療歯科用部品の製造部門が新たな形で成長し、EV関連市場のニーズにも応える体制が整うことが期待されています。今後、各社がどのような連携を進めていくのか注目が集まります。