瀬戸内海の漁業者と連携した海域ごみ対策
日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「瀬戸内オーシャンズX」では、広島県での養殖業に伴う発泡スチロール製フロートの管理が重要なテーマになっています。特に、カキ養殖用のフロート数は国内で最多の30万個以上に上り、環境問題として取り組むべき課題となっています。
発泡スチロールフロート問題の実態
一般的に、カキ養殖に用いられるフロートは紫外線や波浪の影響で約3年で劣化し、結果的に海に散乱する要因とされています。広島県漁業協同組合も、この現状を重く受け止めており、流出防止策の必要性を感じていました。そこで、日本財団は新型フロート及びICタグを利用した管理システムを開発し、効果的な改善を図るための実証事業を開始しました。
新型フロートの特徴と期待
新型フロートはその強度向上が大きな特徴であり、耐久性が高く、使用可能期間が平均7.5年になる見込みです。従来フロートの約2倍の耐久性を持つため、広島のカキ養殖業者全体で年間約5千万円のコスト削減が期待されています。さらに、ICタグの導入により、フロートの使用状況を漁業者が把握しやすくなるため、適切なタイミングでの交換が可能になります。
実施プロジェクトと関係者の思い
10月までに約1000個の新型フロートを設置し、その機能性や耐久性を評価する予定です。漁業者は環境意識を高め、持続可能な養殖業を体現することが求められています。日本財団の海野常務理事は、漁業者の皆さまが自発的に行動しようとしている姿勢を感じており、このプロジェクトの重要性を強調しています。
広島県漁業協同組合の米田会長も、海洋ごみ問題に対するこの事業の意義を訴え、全体をリードしていく考えを示しています。全国の漁業者が意識を高め、さらに行動に移ることが期待されています。
地域貢献と持続可能な未来
このプロジェクトは、地域の漁業者と一般市民、行政、企業が協力し合うことで、すべての関係者が海洋ごみの削減に触れ合う契機となる目指すべきモデル事例と言えるでしょう。日本財団は、海洋ごみ削減だけでなく、持続可能な漁業業界の発展にも貢献したいと考えています。
このような新たな取り組みを通じて、瀬戸内海が清らかで美しい状態を保ち、未来の世代に引き継がれることを願っています。