災害互助システム実現に向けた新たな一歩
東京都獣医師会と株式会社VETONSが、獣医療業界における災害互助システムを構築するための連携協定を締結しました。この協定は、災害時の獣医療支援を安定的に行うことを目的とし、獣医療専用ブラウザサービス「RIMOT」を活用して実現します。
背景と目的
この取組は、令和6年の能登半島地震を契機に始まりました。VETONSが現地での支援活動を通じて、被災者やペットが直面する困難を目の当たりにしたことがきっかけです。これまで多くの大規模災害が予測される中、獣医療の継続的提供と救護活動の強化が求められています。
協定の主要な取り組み
この連携協定では、具体的に以下の3つの柱を中心に活動が進められます。
1.
ペット防災の推進: 災害時に、ペットと飼い主双方の安全を確保するために防災体制を整備します。
2.
被害状況と支援要請の可視化: 動物病院の災害状況を即時に把握し、必要な支援を迅速に共有する仕組みを構築します。
3.
互助体制の整備: 都内の動物病院同士が互いに支え合うネットワークを形成し、安定した獣医療を提供します。
今後の展望
この取り組みは、東京都獣医師会での運用開始を足がかりに、全国の地方獣医師会と連携を進める計画です。各地域のニーズに応じたカスタマイズ支援や機能改修を行い、より実用的な災害対応プラットフォームとして機能すると期待されています。また、一般飼い主向けの防災アプリケーションも計画中です。このアプリは、避難所情報や自治体の連絡先に加え、災害時のペットの安否情報を共有する機能を搭載する予定です。
参加者のコメント
東京都獣医師会の上野弘道会長は、今回の協定締結により、動物医療の迅速な支援体制の構築が進むと述べ、過去の災害が示した「人と動物の共生支援」の重要性を強調しました。また、VETONSの羽田和政代表は、実際に被災地で経験した問題を踏まえ、このプロジェクトを通じて、獣医療業界全体が一丸となって災害対応力を向上させるべきだと語りました。
そして、防災の専門家である東京都議会議員の早坂よしひろ氏は、動物医療支援ネットワークの重要性を認識し、今後の展開に期待を寄せています。
RIMOTの概要
「RIMOT」は、獣医療機関を対象に開発された災害互助支援プラットフォームです。このシステムにより、診療継続に必要な安否確認、情報共有、支援要請が行えるようになります。具体的な機能として、被災地の獣医師の状況を地図上に可視化したり、獣医師会内の迅速な情報共有を実現したりします。
このような新たな取り組みを通じて、災害発生時の獣医療提供体制の維持や被災動物への継続的なケアが可能になることが期待されます。今後も、RIMOTには新しいコンテンツが追加され、より多くの機能が追加される見込みです。
この協定がもたらす未来が、ペットと飼い主にとってより安心な社会の実現に繋がることを願います。