飯塚市におけるブロックチェーンと防災の統合実証実験
福岡県飯塚市で、渋谷Web3大学株式会社、株式会社かんがえる防災、Turing Japan株式会社の3社が共同で、日本初となる自治体によるブロックチェーン(DID/VC)と防災を融合させた実証実験が実施されました。このプロジェクトは、2025年12月から2026年3月にかけて行われ、2026年7月27日に飯塚市へ事業終了レポートが提出されました。
実証実験の概要
このプロジェクトには、以下の主要な要素が含まれていました。
- - 事業名: 令和7年度飯塚市先端情報技術実証実験サポート事業
- - 実施期間: 2025年12月〜2026年3月
- - 実施体制: 渋谷Web3大学が代表となる3社連携による実施
- - コンセプト: 「一つの証明書、二つの価値」 - 平時には防災学習の証明書として、緊急時には避難所の本人確認に用いる
- - 技術: DID(分散型識別子)及びVC(検証可能証明書)を用い、IOTAや東芝のDNCWARE Blockchain+を基盤として使用
この実証は、自治体のデジタル化を進めるための重要なステップと位置づけられています。
飯塚市の防災に適した背景
飯塚市は2021年11月に日本の自治体として初めてブロックチェーン推進宣言を行い、行政証明書の電子交付などを実施してきました。今回の実証実験では、特に「避難所受付のデジタル化」と「防災学習の普及」という2つの柱が設けられました。これは、現場の課題を解決するための直感的な提案でした。現行の避難所受付は紙を使用しており、混乱の中で本人確認が遅れていたため、事前に登録された情報をスマホで提示できる技術的な解決策が求められたのです。
実証実験の内容
実施された各ステップは以下の通りです。
1.
初回実証実験: 2025年12月23日に、DID/VC証明書を30人に発行し、27名が「避難所に避難した市民」としてロールプレイングに参加しました。
2.
防災クイズ配信: 2026年1月19日から3月15日までの8週間にわたって、全56問の「飯塚市かんがえる防災クイズ」を配信しました。正解のない設計のもと、参加証や修了証をDID/VC証明書として発行しました。
3.
中間報告: 2026年2月17日に中間報告を行い、実測データに基づいた発表がありました。
4.
第2回実証実験: 2026年3月20日には20周年記念イベントで、異なるブロックチェーンを使用した同時比較がなされました。
また、事前準備として、市職員向けにDID/VCの説明会を行い、技術のリテラシーを向上させる取り組みも実施されました。
確認された成果と課題
実証の結果、避難所受付の認証時間が手書きで151.06秒、DID/VC認証で68.96秒と半分ほどに短縮されることが確認されました。しかし、技術の利用による改善は、必ずしも全ての利用者にとって直感的ではないという課題も浮かび上がりました。
次のステップ
今後、飯塚市はこの実証実験で得られた知見を基に、個別避難計画や防災の学びの資格化などの新たなプロジェクトへと進めていく予定です。また、地域の企業や学生に対して本実証を紹介する機会を調整中であり、防災学習の資産としてのクイズの活用も検討されています。これからの防災の形を、飯塚市から発信していく期待が寄せられます。