ADI、オンラインイベントでBIMの未来を発表
2025年10月17日、株式会社アーキテクト・ディベロッパー(ADI)の建築本部 商品開発部 設計システム課に所属する石井氏と中村氏が、BIMソフトウェア「Archicad」の新バージョン発表イベント「Graphisoft IGNITE Japan 2025」にゲスト講演者として参加しました。このオンラインイベントでは、テーマを「Archicadで広がる未来への展望 ~設計・原価連携DX運用~」とし、BIMの導入から約5年間の具体的な取り組みを紹介しました。
2030年度を見据えたBIM活用の加速
国土交通省が発表した「建築BIMの将来像と工程表(増補版)」や、一般社団法人日本建設業連合会の目標である「2030年度までにBIMを中心とした業務スタイルを定着させる」への取り組みは、建築業界全体でのBIM活用を加速させる要因となっています。これに対し、ADIは2022年1月より、BIMの導入を推進し、積算の精緻化を通じて約1.5億円の費用対効果を見込むと共に、営業プレゼン力の向上、設計から積算までのプロセスを1カ月短縮することを目指しています。
業界全体の長期的なビジョンを踏まえ、ADI自体の業務改革も早期に進めています。
BIMの導入で確認申請図を効率的に作成
ADIは2024年7月から意匠図、2025年1月からは構造・設備図の領域で、Archicadで作成したBIMモデルから確認申請用図面を生成する運用体制を整えています。この取り組みの中で、BIMモデルから直接数量を出力できるような専用システムの開発も進行中です。目標として掲げる「積算連携率80%」の達成に向けた進捗もあり、2025年9月までに51%の連携を達成した実績があります。
この80%という目標は、技術的に可能な範囲での最大の連携を意味しており、約20%は直接的な連携が困難な分野を除いています。
環境への配慮とコスト削減
これらの努力によって、平均して1.42%の発注金額削減を実現し、フローリング割付の最適化に関しては70棟で372坪分の過発注を抑制しています。これにより、産業廃棄物の削減にも貢献しています。イベントでの講演が評価が高かったのは、このような具体的な数値データと実践的な導入プロセスが参加者に伝わったからでしょう。
参加者からの高評価
主催者であるグラフィソフトジャパン株式会社のイベント後アンケートでは、ADIの講演内容が特に注目されました。実務に即した具体的な取り組みの説明が好評で、参加者からは「内容が充実していて順位がつけられない」という意見が多く寄せられました。いくつかの自由記述欄からも肯定的なコメントが寄せられ、実務に直結する内容として評価されています。
法改正への迅速な対応も
国土交通省は2025年7月に「BIM図面審査制度説明会」を実施し、2026年4月からBIM図面審査を開始する予定です。ADIの長期的なBIM導入の取り組みは、こうした法改正にも迅速に対応できる体制を築いています。今後、設計から積算、施工までの一貫したデータ活用をさらに推進し、建築業界におけるBIMの標準化に寄与していく方針です。
ADIは「美しい暮らし方を住まいから」という理念のもと、豊かな未来の実現を目指し、自らのビジョンに向かって取り組みを続けています。