三菱ケミカル、Zelas™ AMPの医療機器応用研究を開始
三菱ケミカル株式会社は、より安全で効率的な医療機器の開発を進めるため、九州大学先導物質化学研究所と大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科との共同研究に着手しました。この研究は、同社が独自に開発した抗血栓性熱可塑性エラストマー「Zelas™ AMP」の医療機器における適応を見据えています。
背景と目的
心臓カテーテルや人工心肺回路といった医療機器では、血液の凝固や血栓の形成を予防するために、従来は抗凝固剤を基盤にコーティングしていました。しかし、そのコーティング処理はコストが高く、一部の高級医療機器に限られることが多いのが現状です。そこで、三菱ケミカルでは、より経済的に抗血栓性を持つ素材の開発が求められていました。
Zelas™ AMPの特長
「Zelas™ AMP」は、親水性と疎水性を兼ね備えた両親媒性ポリマーです。このポリマーは、医療機器の基材となる樹脂(例えば、塩化ビニルやウレタン)に添加することにより、抗血栓性や低タンパク質吸着性、低細菌付着性を実現します。これにより、医療機器のリスクを低減し、製造コストの削減が期待されます。
共同研究の詳細
共同研究のパートナー、九州大学と大阪大学はそれぞれ異なる専門分野において強みがあります。九州大学先導物質化学研究所は、物質の構造や機能の解明に注力し、特に医療機器の表面設計において高い知識を持っています。一方、大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科は、最新医療の研究開発をリードしており、臨床現場のニーズを考慮した素材評価に取り組んでいます。
期待される成果
本共同研究では、Zelas™ AMPキーポリマーを用いた医療機器の基材に対して、最適な添加・配合設計を進めます。これによって、抗凝固剤の使用量を低減するだけでなく、コーティング処理の必要もなくなり、医療現場における機能性と安全性の向上が図られます。
経営ビジョンと展望
三菱ケミカルは、経営ビジョン「KAITEKI Vision 35」において『新しい治療に求められる技術や機器』を事業の一環として掲げています。Zelas™ AMPの研究開発を通じて、医療グレードの高機能素材を支え、新しい治療法を実現することを目指しています。
最後に
三菱ケミカルは、医療者との協力を通じてZelas™ AMPを含む新しい素材の開発を進め、血液接触医療機器のリスクを軽減し、より良い医療を実現するために貢献していく方針です。今後の研究成果に期待が寄せられます。