被爆者の語り部、小倉桂子さんが叡啓大学で語った平和のメッセージ
2026年5月6日、叡啓大学で特別講演が開催されました。今回は被爆者で語り部として知られる小倉桂子さんをお招きし、彼女の貴重な体験をもとにした講演が行われました。この講演は、英語集中プログラム(IEP)の一環として行われ、参加した学生たちにとって非常に意味深い時間となりました。
小倉さんの体験と戦争の記憶
小倉さんは、わずか8歳の時に広島で原爆の轟音の中、命を落としかけた体験を語りました。市の中心から離れた場所にいた彼女は、閃光を感じ、続いて爆風で意識を失ったという衝撃的な記憶を持っています。彼女の父が「今日は学校に行かない方が良い」という直感が、結果として命を救ったのです。目を覚ますと、周囲は闇に包まれ、広島の街は完全に廃墟と化していました。
小倉さんは、熱線によって自宅近くの農家が自然発火する様子や、放射能を含む「黒い雨」により多くの人々が苦しむ実態を目の当たりにしました。それでも、彼女は小さな希望を失わず、「戦争の恐ろしさ」を伝えることをライフワークとして選びました。
教育者としての新たな歩み
41歳まで専業主婦だった小倉さんが、夫の急逝をきっかけに新たに通訳者としてのキャリアをスタートしました。当初は英語に対する抵抗感もありましたが、彼女は語彙を独学で増やしながら、英語を学び続けました。通訳になる過程で、彼女は核兵器に対する意識や国際問題に対しても自らの立場を深めるようになりました。
核兵器廃絶に向けた葛藤
小倉さんは、核兵器廃絶に向けた活動の中で、アメリカの科学者や指導者と対話を重ねてきました。特にトルーマン大統領の孫との出会いでは、「なぜ都市に原爆を投下したのか」という問いかけとともに感情的な葛藤を語りました。横のつながりと対話の重要性を再認識させられた小倉さんは、次世代に向けたメッセージとして「想像力」と「協力」が不可欠であると訴えました。
被爆者の証言と次世代への継承
講演の後、小倉さんは学生からの質問に丁寧に回答し、活発な意見交換が行われました。叡啓大学の学生たちの情熱に感銘を受け、小倉さんは次世代に伝えるべき思いを強く発信しました。彼女は、身近な人との対話を根底に持つことが重要だとし、心の平和が本当の平和へと繋がるという考え方を示しました。
メッセージの重要性
小倉さんの言葉は、歴史を受け継ぐ上で非常に貴重なものです。彼女が訴えたように、個人の声が集まり、社会を変えていく力になることが、今後の平和のために不可欠であると私たちは理解しなければなりません。これからの時代に向けて、多くの人々と対話し、協力し合うことが私たちの使命なのです。
叡啓大学は、小倉さんの講演を通じて、記憶を伝えることの大切さ、そしてそれを次の世代にどう継承していくかを考える機会を提供しました。小倉さんの思いが、今後も多くの人々に引き継がれていくことを願っています。