2024年実施 電子機器および家電製品の「修理」に関する調査
世界中で深刻化している「電子ゴミ問題」を受けて、多くの国々で「修理」に対する意識が高まっています。国連発表によると、2022年には約620億キロの電子機器が廃棄され、そのうちのリサイクルは25%にも満たないという衝撃の数字が示されています。この状況を打破するため、特に欧米では修理権が広まり始めています。たとえば、フランスでは製品の修理可能指数の表示が義務化されるなど、国を挙げての取り組みが進んでいます。
日本の現状
一方、日本の消費者も修理に対して関心を寄せていますが、法令や制度の未整備などから実際の動きは欧米に比べて鈍いのが現実です。そんな中、株式会社萬年(本社:埼玉県神川町、代表取締役:林慧勇)が、全国100人の一般消費者を対象に行ったアンケート調査の結果が発表されました。この調査では、電子機器及び家電の修理に対する意識を探り、電子ゴミ問題の改善に向けたヒントを提供します。
調査概要
- - 調査内容: 電子機器および家電製品の消費に関する意識調査
- - 調査日: 2024年12月13日(金)
- - 調査地域: 全国
- - 調査機関: Freeasy
- - 調査人数: 100人
- - 対象: 一般消費者(男性50人、女性50人)
購入時の重視ポイント
調査では、デジタルデバイスの購入において「修理のしやすさ」を考慮している消費者はわずか13%という結果でした。最も重視されているポイントは「機能の高さ」で、全体の約60%が選んでいます。特に10代は「機能性」を重視する傾向が強く、修理のしやすさを考えないデータが見られます。
小型家電についても同様に、修理のしやすさを重視する消費者は14%で、デジタルデバイス同様に低い傾向にあります。エアコンや洗濯機、テレビなどの大型家電でも、「修理のしやすさ」は全体で14%と変わらず、年代別では特に60代以上において修理の意識が見られる結果となりました。
耐用年数の確認
製品の耐用年数については、69.77%が「確認する」と回答しており、特に10代と20代で高い関心が見られましたが、それでも30%は確認しないという現実も存在します。
修理に対する意識
修理の意欲については全体で65.12%が「修理したいと思ったことがある」と答え、特に40代が高い割合を示しました。ただし、実際に修理を行ったのは58.93%にとどまり、年代が高くなるほど実行に移せなかった人が目立ちました。修理に対する意欲を妨げる理由としては、63.33%が「新製品を安価に購入できる」ことを挙げており、市場構造が大きく影響していることが示されています。
結論
この調査結果は、消費者が修理への意識を持っているにも関わらず、実際には多くの壁が存在することを示しています。特に製品の購入時に修理のしやすさを考慮し、情報提供が重要とされています。メーカーや業界も、どの製品が修理しやすいかを示すことが、今後の持続可能な社会に向けた一歩となるでしょう。電子ゴミを減らし、環境への配慮を深めるためには、より多くの人々が修理の選択肢を積極的に利用できるような啓発が必要です。