高齢者の事故を未然に防ぐための注意喚起
敬老の日を迎え、私たちが大切に思う高齢者の方々とのふれあいが増えるこの時期。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、高齢者に多く見られる事故について注意を促しています。特に、溝や隙間、点火に起因する事故が報告されているため、皆さんに現状を知り、事故を防ぐための対策を考えてもらいたいと思います。
溝に注意!電動車いすの事故
近年、高齢者が電動車いすを利用中に側溝に転落する事故が頻発しています。特に踏切や側溝、坂道での発生が多く、走行環境の確認が極めて重要です。例えば、2019年には福井県で80歳女性が電動車いすで側溝に転落し、入院後に亡くなるという痛ましい事故がありました。この事故は、電動車いす自体に異常は認められなかったため、使用環境が事故を引き起こしたと考えられます。
利用する際は、あらかじめ荒れた道路状況を確認し、安全に走行できるルートを選ぶことが推奨されます。また、乗車前の点検も兼ねて、バッテリーやタイヤの状態をしっかりチェックしましょう。
隙間がもたらす危険
介護ベッドやポータブルトイレには、身体を支えるためのフレームや肘掛けがありますが、これらに隙間があることで挟み込み事故が起こることがあります。具体的には、2022年6月に静岡県で80歳女性が介護ベッドの隙間に挟まり、命を落とすという痛ましいケースがありました。
事故を防ぐためには、使用している車両がリコール対象でないか、安全基準を満たしているかを事前に確認することが不可欠です。さらに、隙間を事前にチェックし、必要に応じてクッションや保護カバーを使用することが安全対策として効果的です。
点火周りの火災に注意
ガスこんろを利用中に衣服に着火する事故や、ライターに残った火が衣服に焼き付いてしまうケースも少なくありません。たとえば、2022年には奈良県で調理中に衣服が燃えて火傷を負った60歳女性の事故が発生しました。このような危険は、特に視力が低下している高齢者にとって非常にリスクが高いものです。
ガスこんろを使用する際は、火の色が見えにくいため、近づきすぎないよう注意し、関連する調理器具を手元に配置することが重要です。また、ライターを使用後には火が完全に消えているかを確認し、異物の付着がないか注意を払うことが必要です。
家族とともに高齢者の安全を考えよう
敬老の日を迎えるこの機会に、家族や介護を行う方々と共に高齢者の生活環境の見直しや事故防止策を話し合うことが重要です。周囲が少しの注意を払うことで、大切な家族を事故から守ることができます。安全な生活環境を提供し、高齢者が安心して暮らせるようにしましょう。
高齢者の事故予防は、身近な危険に気づくことから始まります。NITEでは「SAFE-Lite」という事故情報を検索できるツールを提供しており、より安全な選択ができるようサポートしています。ぜひこの機会に情報を確認し、大切な人々を守る取り組みに参加してみてはいかがでしょうか。