令和5年度市町村普通会計決算の概要とその影響
令和6年11月29日、総務省は令和5年度の市町村普通会計決算に関する概要を公表しました。この資料には、全国の市町村1,718団体や特別区23団体など、計2,992団体に関する決算データが示されています。これにより、地域ごとの財政状況を把握することが可能となり、今後の地方行政にどのように影響するのかを考える重要な資料です。
1. 歳入状況
令和5年度の市町村の歳入は69.3兆円で、前年に比べて0.3兆円の増加が見られます。この中で、通常収支分は69.0兆円、東日本大震災分は0.3兆円とされています。
増要因
- - 地方税の増加:固定資産税や個人市町村民税の増加により、地方税収は3,284億円増。
- - 地方交付税の増加:普通交付税の増加が影響し、地方交付税が2,061億円増。
減要因
- - 国庫支出金の減少:新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の減少により、国庫支出金が7,833億円減っています。
2. 歳出状況
歳出は66.9兆円で前年と比較して0.4兆円の増加を示しています。内訳は、通常収支分66.6兆円、東日本大震災分0.2兆円です。
増要因
- - 扶助費の増加:低所得者世帯への給付金が増え、扶助費が9,681億円増。
減要因
- - 新型コロナウイルスワクチン接種事業の減少により、物件費が4,992億円減。
- - 定年を引き上げた地方公務員による退職手当が減少し、人件費が1,690億円減。
3. 決算収支
実質収支は1兆8,463億円の黒字、ただし前年からは2,235億円の減少。また、実質単年度収支は2,638億円の赤字を記録し、前年よりも2,458億円の減少が見られます。特に赤字の団体は一部事務組合において2団体が存在しています。
4. 財政構造の弾力性
経常収支比率は93.1%で前年比0.9ポイント上昇、実質公債費比率は5.6%で0.1ポイントの上昇が見られます。これは、地方財政の安定感を示す指標として注目されるべき内容です。
5. 地方債の現状
- - 地方債現在高は54兆8,856億円と前年より7,692億円減少。これに対して、臨時財政対策債を除く地方債現在高は36兆5,317億円で、5,979億円の増加が見られます。
総括
東京都や大阪府など経済が活発な地域では、この傾向がより明確に現れるでしょう。今後も地方の財政管理が重要視され、地域の持続可能な発展に向けた施策を展開する上で、本データは重要な指標になることが期待されます。各地域の行政担当者や住民にとって、しっかりとした財政基盤が求められる現在、この報告がその参考材料として役立つことを願っています。