障害年金不支給率の急増
2023年6月11日、厚生労働省が公表した『令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書』によれば、精神・発達・知的障害の年金不支給率が前年度の6.4%から12.1%へと約1.9倍に急増しました。この結果は非常に憂慮すべき事実であり、さらにこの報告書は精神・発達・知的障害を抱える人々の支援の在り方に疑問を投げかけています。
この報告を受け、東京都自閉症協会と発達障害当事者協会は、共同声明を発表しました。彼らは、精神障害や発達障害に対する無理解が不支給率の急増の背景にあると指摘し、この状況を改善するための行動を起こす必要性を訴えています。
不支給の実情
報告によれば、不支給となったケースの約75.3%は、「支給基準に満たない」とされる基準に基づくもので、専門医の診断においても支給相当と考えられる人々が不支給となっています。この現状は、障害年金を申請する方々にとって深刻な意味を持ちます。
課題と改善策
自閉症協会と発達障害当事者協会は、精神・発達・知的障害に焦点を当てた評価基準の見直しを求めています。この問題の根底には、偏った認識から生じる不公平な判定が存在しており、現行の基準は個別の状況を十分に考慮していないとされます。特に、社会的ハンディキャップを伴う場合には、現状の医学的指標だけでは支給の判断が難しいことが多く、当事者の声を反映した制度改革が必要です。
政府に対する声
6月16日には記者会見が行われ、当事者たちの状況を改善するための切実な調整を求める声明が発表されました。彼らは、精神的な負担が大きい状況を訴え、今こそ支援制度の見直しが必要だと強調しています。この呼びかけに応える形で、関係機関や専門部会を早急に設け、具体的な声を聞く機会を設けるよう求められています。
新たな制度への期待
現在の年金制度は、1959年の古い基準に基づいて定められており、現代社会のニーズに全く適応していない状況です。発達障害者を含むすべての障害を持つ人々が、安心して生活できるような支援制度が求められています。時代に即した評価基準の改定が進むことを期待し、今後の動向に注目が集まります。
これからは、発達障害当事者やその家族の声が、制度に反映されるような社会を目指す必要があります。精神的健康の重要性が叫ばれる中、この問題に対する理解を深め、より良い未来を築くための行動が必要です。