京都芸術大学と三井住友信託銀行のコラボレーション
京都府左京区に位置する国内最大の総合芸術大学、京都芸術大学が三井住友信託銀行と連携し、地域特産の「北山杉」を使用したオリジナルのソファとサイドテーブルを制作しました。本プロジェクトは、芸術と金融を融合させることで、地域材の魅力を広めることを目的としています。この取り組みは、世代を超えた人々に伝統的な素材が持つ美しさと温もりを感じさせる新たな試みです。
プロジェクトの始まり
このプロジェクトは、2023年夏、環境デザイン学科と美術工芸学科の学生約10名からなるプロジェクトチームによって始まりました。彼らは北山杉の特性や魅力を学ぶために現地視察を行い、三井住友信託銀行の内部空間の視察も重ねました。その結果、北山杉の特長を生かした製品を作ることが決定し、設計案を練り始めました。
製作過程と技術
完成したソファとサイドテーブルは2025年9月に京都支店と四条支店のロビーに設置されました。特に、ソファの座面は最新の3D技術を活用し、専門業者によって北山杉の集積材から削り出されています。この方法により、滑らかな曲線を持った座り心地の良いデザインが可能となり、年輪の美しさも引き立っています。
サイドテーブルは、北山杉の端材を用い、水溶性樹脂の中に組み合わせることで、SDGsを意識したアイテムとして仕上げられました。これにより、環境への配慮も大切にしたデザインが生まれています。
学生たちの想い
このプロジェクトに参加した学生たちは、北山杉の美しさに初めて触れ、その魅力をどうデザインに生かすかを真剣に考えました。一人の学生は「多様な世代のお客様に、素材の温もりを感じてもらえる空間を提供できたことが嬉しい」と語り、別の学生も「経年変化を楽しんでもらえれば理想です」とコメントしました。
銀行側の反響
三井住友信託銀行の担当者は、地域の伝統木材を取り入れたこの試みを非常に評価しており、設置以降、訪れるお客様からの反響も好評だと述べています。「京都芸術大学とのコラボレーションを通じて、木の文化を未来に繋げる活動を推進していきたい」との意気込みも語りました。
京都芸術大学の教育理念
京都芸術大学は、23,000人以上の学生が在籍する日本最大の規模を誇る藝術教育機関です。学生たちは、「藝術立国」の理念のもと、社会のさまざまな課題にアートやデザインを通じて取り組む「社会実装プロジェクト」を年100件以上手掛けています。その中で、公共的価値を創出する機会が大切にされています。
このプロジェクトは、芸術が地域社会に貢献できる方法を示す一例です。人々が集まる銀行の空間に、北山杉の心地よい温もりとデザインが息づき、訪れる誰もがほっとできる場所となっています。この試みが地域の文化や技術の継承に寄与することを期待したいです。