健康経営の時代
人生100年時代が到来し、長く健やかに働き続けられる社会が求められています。しかし、日本企業は従業員の健康に関する多くの課題に直面しています。具体的には、従業員の健康リテラシーの向上や医療費の抑制が挙げられます。このような中で、健康経営を推進することは、業務の生産性を向上させ、企業のイメージを高め、従業員の定着率を向上させる可能性を秘めています。
京からのサポート制度
協会けんぽ京都支部では、健康経営を推進する事業所の認定とサポートを行う「京から取り組む健康事業所宣言」を実施しています。この制度のもとでは、健康経営に関する動画や健康測定器の無料貸し出し、さらに健康講座の提供といった多様なサポートが受けられます。
2023年10月時点で、京都市内で1,548の事業所がこの取り組みに参加しています。今回は、2017年から健康経営に取り組んできた「長津工業株式会社」の事例を紹介します。
長津工業の挑戦
長津工業株式会社は、1960年に創業し、建設機械や産業機械の部品を製造しています。特に、油圧ショベルの履帯やホイールローダーのトランスミッションなどの製品を提供し、従業員の定着率が非常に高いことで知られています。時代の変化に伴って、新たな人材を獲得する難しさを感じていた同社は、2017年から健康経営の導入を決意しました。
古川遥香さんと鈴木敬悟さんは、健康経営の導入背景をこう語ります。古川さんは「少子高齢化による労働力不足を見据え、従業員の健康を視点に施策を考えることで、人材獲得をより有利に進められる」とし、鈴木さんは「新卒採用において福利厚生が重視される印象がある」とコメントしました。このように、健康経営を積極的にアピールすることで、学生たちの印象も大きく変わったようです。
独自の施策で健康意識向上
長津工業は、従業員参加型の健康施策に取り組んでいます。その中でも2023年に完成したN-Plaza(厚生棟)は、健康講座や健康器具のレンタルを拡張し、オリジナル施策を取り入れる転機となりました。
古川さんは、このN-Plazaの計画にあたり従業員の意見を反映させたことが成功の一因であると指摘します。具体的には社員食堂を設けたことにより、健康的な食事が提供され、従業員のモチベーションも向上しました。鈴木さんは、自身も健康に対する意識が変わり、健康的な生活を実現できたことを説明し、嬉しそうに話します。
課題への継続的な取り組み
長津工業は、健康経営を進める中で新たに浮かび上がった課題に対しても真摯に取り組んでいます。ストレスチェックを導入し、メンタルヘルスの維持に向けた健康講座も開催し始めました。古川さんは、健康経営に関する知識が深まることで、自身の健康意識が高まったと語り、鈴木さんも20kgのダイエットに成功した経験を語ります。両者にとって、健康的な生活は意識の変化から始まることを実感させられます。
長津工業株式会社は、従業員が健康であることを重視し、協会けんぽ京都支部と共に健康経営を推進することで、企業価値の向上を目指しています。健康経営についてお悩みの企業様は、ぜひ協会けんぽ京都支部に相談してみてはいかがでしょうか。